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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2012.07
23
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Category : ミリタリー
 ロシアは太平洋では、ゲームのプレイヤーとして振る舞えない。ロシア通を自称する方は、ロシア海軍は無視できない戦力である(http://twitter.com/rybachii/status/204155401510469633)と主張している。また、常に現今のロシア情報に眼を通せば、ソ連時代や90年代後半とは大きく異なっている(http://twitter.com/rybachii/status/226884670304964608)とも主張している。しかし、ロシア太平洋艦隊は、質的にソ連時代と変わらない。また、量的には90年代末と大差はない。ロシア艦隊は太平洋では、影響を与えられない存在に留まっている。特に各国が海軍力に投資している東アジアでは、質、量とも劣勢にある。

 ロシア海軍通を自称する高町紫亜さんは、ロシア海軍を軽視する風調に異論を唱えている。精力的に現地メディアによるロシア海軍情報を紹介しており、その独自情報は極めて貴重であるといえる。ロシア海軍に関して調べるときには、高町さんは無視できない存在であり、評価すべきであるだろう。

 しかし、ロシア海軍が今ある地位については、直視していないように見える。外国通は、その国を弁護する立場になる。明治以降、駐在員や留学生、研究者が捕らわれた陥穽に囚われてしまう。ロシアへの愛ゆえか、ロシア海軍力の限界については眼を瞑る傾向にある。

 ロシア艦隊は、ソ連時代と同一ではないと主張されている。しかし、質的には20年前のソ連海軍と同一水準に留まっている。ロシア海軍の主力水上艦はソ連時代、70末-80年初頭とほぼ同じ構成のままになっている。当時の艦艇から50-60年代に建造された旧式艦が退役しただけで、新鋭艦が追加されているわけではない。実際にロシア海軍の大型水上艦を見れば、最新艦はいまだにソブレメンヌイでありウダロイのままだ。これら大型水上艦の全て、そして原子力潜水艦は過半が70-80年代に起工され、老朽しつつある。ソ連崩壊以降に完成した艦艇は、通常潜水艦の半分程度と、コルベットの代用品として使われているミサイル艇程度にすぎない。

 艦艇数も、今でもソ連崩壊後のどん底期と大差はない。ソ連太平洋艦隊で比較すれば、90年代後半も今も大差はない。ミリタリーバランスの数字はその点を明瞭に示している。87年には、ロシア太平洋艦隊は軽空母2隻を含む88隻の主力水上艦、133隻の潜水艦を保有していた。しかし、95年には主力水上艦と潜水艦は49+51隻、2000年には10+16隻、最新の2012年版では9+21隻に過ぎない。沿岸防衛用の小型艇にもかつての面影もなく、増勢の見込みもない。戦後、ソ連海軍は1000隻程度の魚雷艇・ミサイル艇を建造した。コマール級やその原型であるP-6/8/10魚雷艇は600隻以上、オーサ級も400隻以上建造された。しかし、どん底期に大きく減勢し、そのままである。現在、ロシア海軍が保有する後継艦艇、ナヌチュカやタランテルは合計しても50隻程度にすぎない。そして増える見込みもない。

 ロシア海軍は、太平洋ではプレイヤーとして振る舞えない。同じくミリタリー・バランスの数字で比較してみよう。2012年の段階で、米海軍は空母12隻を含む115+71隻、海自はヘリ空母2隻を含む46+18隻、中国海軍は雑多な旧式艦も含んでいるが76+59隻である。ロシア太平洋艦隊は、脅威になるような存在ではない。

 高町さんは、ロシア海軍の細かい情報に接するあまり、近視眼的になってしまっている。折々に発表される将来計画その他の情報により、ロシア艦隊は強大な戦力を保有するだろうと考えているのだろう。しかし、それは微分的な判断に過ぎる。ロシアの経済、財政支出の構造を長期的傾向を見ると、かつてのソ連海軍まで行かないまでも、大海軍を建造し、維持する能力はない。

 結論としては、ロシア太平洋艦隊は、これからも無視できる水準である。長期的展望に立てば、そのような結論になる。これは高町さんがいうように、「豊富な[ロシア現地]情報が入手できる現在」であっても、『情報力』があっても(http://twitter.com/rybachii/status/226887180235177984)変わらない結論である。



 予約投稿の日付間違えていたのに気づいたので、手動投稿しました。
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