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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
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2012.09
08
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10:28
Category : ミリタリー
 10式戦車に必要性はあるのかね?

 ゲリラの類を相手にするのに「10式が必要」は無理があるだろう。2013年度の概算要求(防衛省)※が出たのだけれども。毎年のことだが10式戦車は「特殊部隊攻撃等への対処」として挙げられている。「(4)ゲリラや特殊部隊による攻撃、大規模・特殊災害等への対応等」のうち「特殊部隊攻撃等への対処」であり、その中でも「ゲリラや特殊部隊の捜索、重要施設防護」とされている。対上陸戦でも対戦車でもない。

 しかし、戦車は捜索にも防護にも向いたものではない。神出鬼没のゲリラ・コマンドに対応できるものでもない。戦車はやかましく、視界も狭く、ゲリラの類を捜索するには向いていない。重要施設防護にしても、掩体や装甲車で済むものに戦車を置くのは不経済極まりない。

 そもそも、ゲリラや特殊部隊との戦闘に、大火力・機動力・防護力は必須ではない。大火力、機動力が必要とされないのは論を俟たない。防護力はあるにこしたことはない。しかし、小火器に防護できれば充分である。軽装甲機動車でも構わない。対戦車火器が気になるなら、気になるなら、96式装甲車に網でも柵でもつけて、HEAT避けにすれば済む。そもそも、身軽が信条のゲリラやコマンドは大した対戦車火器を持たない。

 ゲリラ・コマンド対策では、10式である必要がない。「10式が高性能である」ことと、「10式が必要である」ことは別個の話である。90式に較べ、スペック的に性能は向上したかもしれない。しかし、冷戦崩壊以降では屠龍の術である。上陸戦以下の戦い、低強度のゲリラ・コマンド対策で必要な能力ではない。

 ゲリラ・コマンドがどれだけ発生するかも怪しい。日本でコマンドが大挙侵入するのか、大規模なゲリラが発生するのかを考えれば、結果は否定的になる。日本に、コマンドが大挙する見込みもない。地続きの隣国を持たず侵入しがたい。言語は孤立した言語であり、習熟は難しい。集団の同一性が高いので、溶けこむことは難しい。ゲリラも発生する見込みがない。社会に対してそれほどの不満はない。地域対立も階級対立もなく、土地開放に至るような地主支配もない。

 ゲリラ・コマンドの脅威を煽る人々は、朝鮮半島の例を挙げる。しかし、あれは元々内戦である。コマンドを送り込むことは容易である。DMZができるまでは、境界はあってないようなものだ。同じ民族であり、言語や習慣でも互いに溶けこめる。そもそも、韓国には北から逃げてきたキリスト教信者や小資本階級が多く、北出身の雰囲気があっても怪しまれることは少ない。ゲリラについても、北から流れてきたものではない。韓国内部に抱えていた問題が太宗である。韓国内部にも地域対立や階級対立があり、土地開放前では地主支配への抵抗といった、ゲリラの素地※※ があった。内戦は朝鮮戦争以前からあり、世情も悪かった。

 結局、10式戦車を整備する理由がない。日本本土への上陸戦がないことはコンセンサスである。頼みのゲリラ・コマンドにしてもそれほどの規模は来ない。そもそも、ゲリラ・コマンド相手に10式戦車は必須装備でもない。「10式が高性能である」ことと、「10式が必要である」ことは全く別である。使い方は90式と同じであり、使い勝手も大差ない。

 いずれは、ゲリラ・コマンド対策も行き詰る。そのとき、新戦車調達の理由付けはどうするのかね。テロ対策とでもするか。それともその前に調達が中止されるのかね。


※ 防衛省防衛政策局防衛計画課、経理装備局会計課「我が国の防衛と予算 -平成25年度概算要求の概要」(2012.9,防衛省)http://www.mod.go.jp/j/yosan/2013/gaisan.pdf
 事業の中に、新多用途ヘリコプターが入っていないのは、急遽抜いたのだろうね。

※※ 北朝鮮でも、キリスト教や商人が体制と対立していた。多分、ゲリラも発生していたのだろう。
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