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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2012.10
08
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12:59
Category : 有職故実
 簡体字をつかう新中国は歴史破壊とか言い出す人もいる。自衛隊でも結構、高級幹部で仕事もできるけど、それ以外はご存じない人が講話で言っていたよ。※

 でもねえ、正規の繁体字なんかどこで使っているのかね。台湾でも日本でも、普段使う文字は繁体字なんか使っていない。そもそも、簡体字にも歴史がある。革命の余波で一気呵成にやったけれども、デタラメに決めたわけでもない。

 だいたい繁体字なんて、いちいち書けるもんじゃない。繁体字を使う台湾だって、普段使いする文字は康煕字典の繁体字は回避する。そもそも自分たちの住んでる地域の「臺灣」なんて手描きじゃ書いていられない。日本もそう。日常で使う、たとえば通貨単位の「圓」なんて毎回、丁寧に書いてらんないから、「円」と書いているわけだ。簡易化するのは当然な話。

 簡体字もデタラメではない。歴史的にどうやって簡略化をしたのかを参考にしている。民国時代に出版された『宋元以来俗字譜』が種本である。大学図書館とか国語研究所には所蔵されているかもしれない。まあ、国立国会にはオリジナルがなかったので、1950年代、新中国で影印復刊したヤツを読んだのだけれども、突拍子もないものはない。

 宋元以降が参考にされたかのは、出版文字が出現したためだ。宋元以降、商業出版として、一般民衆向けの白話小説等、版本出版が盛んになった。そこで使われた、簡略文字が標準になったためである。

 当時はメディアが手彫版本である。何回も出てくる字を、真面目に繁体字なんか掘っていられない。そもそも内容がどうでもいい口語文小説である。そのため「読めればいいよ」の略字が出てくる。※ 「無」なんて、多用される割には掘るのがメンドイ、だから「无」にする。実際には、オリジンというわけでもなく、それまでに使われていた、いろいろな略字がメインなのだろう。しかし、出版により大量流通したことにより、その略字が普及する。そして、別の版本でも使われると、その文字は固定する。

 『宋元以来俗字譜』では、「无」は12種類の本のうち、10種類で採用されていることを示している。日本でもくずし字で使われている。「文化破壊の簡体字」とバカにできるものではない。

 簡体字の過半は、それまで使われていた俗字や略字を採用し、その簡略化を似た文字に適用したものである。歴史破壊というほどのものでもない。

 そもそも、漢字しかない中国で、普段使いする文字を正しく書けというのも無理な話だ。それを「文化破壊」と批判する人も、簡略化、簡体字は使っている。彼らだって「鹽」なんて書かないで、「塩」と書くだろって。


※ そのたぐいの人に、起案用紙の裏にある「記書き」(手書きの趣旨説明)で咎められたことがある。防衛省の「衛」を「彳ヱ」と書いたのだが、その人のところで「そんな字はない」と説教を食らった。昔、防衛庁の看板でも結構使っていた文字なんだけどね。正しい字をつかえともいうのだけれども、正字も「衛」とは微妙に異なる。真ん中の下が違うんだけどね。
 まあ、明治大正昭和の公文書原義やその「記書き」を読んだことがあれば、馬鹿馬鹿しい話にしか聞こえないんだけれども。

※※ 「實」の簡体字が「实」であって、「実」ではないのは、筆記文字ではなく、手彫文字を採用した影響だろうね。掘る上では「实」のほうが優れている。「シ+ノ」のほうが、「三+人」よりも、掘りにくい交点が2つ少なく、線も一本少ないわけだし
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