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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
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2012.11
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Category : 未分類
 韓国は慰安婦問題で人権を前に出している。『東亜』最新号で谷口智彦さんが書いている※ のだが、韓国が日本を非難するレトリックで人権を使うようになった。慰安婦問題では韓国は普遍的な人権思想、ジェンダー思想で武装している。韓国の普遍的人権を前に出したシンプルな主張に、英語圏は支持を与える。細部である歴史的真実でどうこう言っても対抗できない。谷口さんはそう言っている。

 実際のところ、韓国が慰安婦問題を持ち出すのは、半ばはナショナリズムをこじらせたゆえの対日非難である。日本を非難しても問題は何も改善しないが、対日非難により自尊心は満たすことができる。谷口さんも記事でこのように述べている。
韓国は、事実としての歴史ではなく、かくあれと信じたい、ないし進んでそう信じることを大義だとすら考える歴史を説き続け、自己洗脳を遂に国民的規模でなしおおせた
   「韓国のレトリックに戦略的洗練」
韓国が日本の苛政に虐げられていた※※ というのは、韓国が自主的に独立を成し遂げたという建国神話への信仰と似たようなものだ。

 しかし、普遍的な思想に裏付けされた単純な主張は強力である。韓国の主張に応じて、米国務長官ヒラリー・クリントンは慰安婦を性奴隷と呼ぶべきと述べた。これは彼女自身の信念がそう言わせたものである。彼女の良心は、慰安婦問題を軽視することはできない。仮に国務長官の立場から、小賢しく同盟国日本に配慮しても、政治的に人権を軽く見ると批判されるだろう。

 慰安婦問題での韓国側主張に対抗するには、この構造を理解しておかないとならないのではないか。慰安婦問題で細部の歴史的事実「強制連行の事実はない」とか「軍による管理売春ではない」を全面に押しだず対抗は、無意味か、却って不利を招く。歴史的事実は、人権問題から言い逃れれる手法にしか見えないからである。

 この点「慰安婦問題で米紙に意見広告 強制連行裏付ける資料なし」は悪手に見える。「作曲家のすぎやまこういち氏やジャーナリストの櫻井よしこ氏ら[神がかり右派の]有識者」の段階で、韓国側に対しては火に油そそぐだけなのだが、米国内世論に対しても悪い影響しか与えない。

 実際に歴史的事実であっても、言い訳にしか見えない。「日本軍による強制連行を裏付ける資料はなく、発見された公文書によれば強制募集や誘拐を禁じていたと訴え」たところで、人権的・ジェンダー的な嫌悪は消えない。そもそも慰安所はあったのだから旗色は悪い。普遍的人権の話に対して、区々たる言い訳をしているようにしか見えないのである。

 歴史的事実による言い訳よりも、人権思想に基づいた対応の方がよい。日本が河野談話等で謝罪し、対応をとった点を前に出すべきではないのか。そして、慰安婦問題を政治的に利用すべきではないと主張したほうが筋が良い。

 韓国に対し、反論も人権の面からすべきである。韓国は慰安婦救済ではなく、政治的に利用しようとしている。それを非難する方法もある。アジア女性基金の時には、韓国国内で受け取りを妨害する運動が起きた。韓国が旧従軍慰安婦救済をよりも、政治問題として利用することを選んだともいえる。そのあたりをほじくり返し、場合によれば再び救済を行い、政治利用しようとする世論と元慰安婦を分断するとかしたほうがよい。



※ 谷口智彦「韓国のレトリックに戦略的洗練」『東亜』(霞山会,2012.10)pp.2-3

※※ もちろん、日本による植民地支配は慈愛に満ち溢れたものではない。朝鮮半島を一方的に利用したものであり、収奪も弾圧もあった。谷口さんもその点について「およそ植民地統治なるものが、そうである程度の非道を含んでいた」と述べ、ヨリ一般化している。

※※※ 産経「慰安婦問題で米紙に意見広告 強制連行裏付ける資料なし」(2012.11.7 12:01)http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121107/plc12110712020007-n1.htm
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