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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

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2012.11
23
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13:00
Category : 中国
 ダライ・ラマさんは、プレスター・ジョンではないだろうか。

 ダライ・ラマさんに含むところはない。好きでもなければ嫌いでもない。宗教指導者であるところから見ると、大人物なのだろうとは推測できる。しかし、周辺にいるダライ・ラマさんを過剰に持ち上げ、期待する人々には不健全なものを感じる。

 例えば、櫻井よしこさんの記事「中国への遠慮捨てよ」「国会議員が初めて法王を迎える」である。どちらもへの新中国に対する強烈な反感と、その裏返しとしてのダライ・ラマさんを持ち上げる気持ちがある。

 ダライ・ラマさん待望は、プレスター・ジョン待望と同じである。プレスター・ジョンは、中世欧州でアジアにいるアンチ・イスラムとして想像された。十字軍時代、ヨーロッパ人が待ち望んだ、アジアにいる高潔で熱心なキリスト教君主であり、反イスラム同盟として提携する勢力がプレスター・ジョンであった。

 桜井さんを始めとする、アンチ新中国の皆さんにとっては、ダライ・ラマさんは救世主である。新中国との戦いでの、反中国の同盟者であることから、ダライ・ラマさんは美化される。美化するだけならいいが、そこに自由と民主主義と人道主義といった西側価値観を共有していると考えるのは、勝手な投影※ である。

 ダライ・ラマさんはチベット亡命政府の顔である。亡命政府であるから、西側には自由や民主主義をリップ・サービスはする。そのリップサービスを真意と真に受けるのは早計ではないのか。

 これはインドへの傾倒でも似ている。だいたい同じ人たちは「インドとは価値観を共有しており、同盟関係を強化する」とも言っている。ダライ・ラマさんと同じように、駒としては便利で、互いの利益にもなるだろう。しかし、過度な思い入れをするといずれしっぺ返しを貰うのではないか。

 敵の敵を持ち上げるのはいいが、そのうち深い絶望を味わうのではないか。第二次世界大戦で、米国はソ連に対して過剰な思い入れをして、戦後に絶望を味わった。それと同じことが、ダライ・ラマさんやインドとの共闘の後に生まれる可能性を考えないのは危ういように見える。

 大人物に見えるダライ・ラマさんがそうだとはいうわけではないが、李承晩という例もある。キリスト教倫理観や自由や人道を共有しており、パペットやプロクシとして安全牌だったはずの李承晩がやったことを見れば、まず亡命政権首班ほどあてにならないものもないのではないか。

 いずれにせよ、なぜ、駒と割り切れないのか不思議である。櫻井よしこさんほか、新中国に反感を抱く人たちが、中国に膨張主義に見るのは理解できる。その上で、いわゆる中国膨張主義を封じ込めるツールとして、ダライ・ラマさんは便利な道具である。しかし、そこに同志的連帯を見だすまで心酔するのは行き過ぎに見える。「現実主義」や「冷徹な国際政治」を標榜する割には、敵の敵にはやたら甘い。そこに理想まで見てしまうのは、中世のプレスター・ジョン待望論そのものだ。相当に甘い認識である。



※「ゴドーを待ちながら」みたいな、本人不在の空間で好き勝手言っている感じがするんですよね。各国を問わず称揚者が人道主義、中国のチベット政策、社会思想、あるべき仏教みたいな話について、自己の理想像を勝手に投影しているようにも見えるわけです。
 いや、己はダライ・ラマさんには悪気も憎しみもないんですけどね。
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