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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

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2013.01
02
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13:00
Category : ミリタリー
 やえやま型である必要はあったのかね。大深度機雷への対応として、もっと確実な方法や、あるいは安い方法もあったのではないかね。

 90年代、海自は掃海艦3隻を整備した。東京外湾で機雷から潜水艦を守るために建造した大深度掃海用掃海艦である。大深度掃海用対応を謳いい、自動で深度を調整してくれるS-8掃海具を装備している。しかし、実用上はソーナで機雷を探すことになる。その上で大深度で繋維掃海するアイデアは既に時代遅れだったんじゃないか。

 やえやま型掃海艦は大深度機雷への対応として建造された。横須賀から観音崎をかわって東京外湾はいきなり水深が大きくなる。そこに大深度機雷を入れられた場合、横須賀から出港する、艦艇が危険に晒される。特に潜水艦が危険になると考えられていた。潜水艦が危険となるのは、高価な大深度機雷は基本的に潜水艦を狙うものとして作られているためである。

 対抗すべき大深度機雷としては、70年代以降に登場した上昇機雷やロケット機雷、短魚雷を発射する知能化機雷である。従来、200mを超えるような大深度に機雷は敷設できない※ とされていた。また、敷設しても繋維機雷であるため、掃海で容易に対抗可能であると考えられていた。しかし、上昇機雷の類は200mを超える大深度に敷設可能であり、長い繋維索を持たないため、繋維掃海では対抗不能であった。

 大深度機雷に対抗するため、やえやま型はS-8掃海具を装備している。S-8は掃海具というよりは、水中フロートそのものである。リモコン水中フロートであって、自動深度調整や、掃海艦からの方位、現在位置を教える機能がついている。それ以外の部分は従前品を集めたものだ。コンセプトとしては、短繋止されているワイヤーを狙って繋維掃海する発想である。

 しかし、大深度機雷を処分する方法として、掃海は面倒臭い。大深度機雷は待受面積が広い。高価でもあるので、密集配置させるものでもない。ソーナーで見つけた1個だけ、あるいは何マイルも離れてポツンポツンとある機雷に対して、わざわざ掃海具を展開・揚収する手間は大き過ぎる。そのうえ、ワイヤ-カッターで正確に繋維索を狙うのは面倒この上ない。

 まずは、大深度処分具を作ったほうがよかったのではないかね。やえやま型+S-8掃海具よりも、そっちのほうが
容易かつ確実に大深度機雷を処理できる。S-8は掃海具でやめずに、ROV(リモコン処分具)まで進化させたほうがよかったのではないか。大回りしかできない掃海艦で機雷の近くまで掃海索を引っ張りまわすのは、あまりにもマヌケなやり方である。もちろん、当時そこまでの大深度に潜れるROVはない。しかし、容積や重量を無視すれば作れないものでもない。

 逆に、大深度での繋維掃海にこだわるのならば、特に専門掃海艦とする必要はなかった。同じ大深度用掃海用として先行していた英国RIVER級は簡易にできていた。繋維掃海具を鋼製漁船で二艘曳きするものである。潜水艦出入航路だけを確保すれば良いとする判断だろう。ソーナーもついていない。確かに、潜水艦の出入だけが問題なのであるから、潜水艦直前を前路掃海し、あるいは航路を日日掃海すればよい理屈である。

 果たして「やえやま」型掃海艦は必要だったのだろうか。大深度掃海を理由にした大型掃海艇が欲しかっただけではないのか。今もそうだが、掃海艇は耐航性や居住性に欠ける。そのあたりで、乗り心地のよい※※ 掃海艦が欲しいといったあたりが、本音だったのではないだろうか。


※ 第二次世界大戦中、イギリスが-600m地点に繋維機雷を入れているが、実用的な範囲は超えていると考えられていた。大深度敷設が現実的な問題になったのは、1970年代にクラスター・ベイ等、大深度敷設可能な誘導機雷が登場して以降である。

※※ 木造で対機雷戦艦艇を作っていた理由の一つも、乗り心地ではないかね。FRP/GRPのように成形型が要らないので、状況に応じて船型を変えられるメリット※※※ もあるが、○掃に話を聞いていると乗り心地を追求したとしか思えない部分がある。

※※※ 木造には、耐燃性での難点や、フナクイムシ退治のための頻繁な整備というデメリットもある。
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