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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2013.02
03
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13:00
Category : ミリタリー
 桜林さんは、題名と内容が異なる記事に違和感を感じないのだろうか?

 桜林美佐さんが『Themis』に掲載した「航空自衛隊『F-35戦闘機』を徹底活用せよ - ロシアや中国による領空侵犯が急増し自衛隊のスクランブル発進も増えている」についてだが、題名と中身が不一致である。題名、副題、各見出しとも、内容とかけ離れている。

 桜林さんの記事では「航空自衛隊」が「『F-35戦闘機』を徹底活用」する方法について書いていない。どのように活用するのか、一切示されていないのは、羊頭狗肉というよりも羊頭無肉とでもいうべきである。

 また副題「ロシアや中国による領空侵犯が急増し自衛隊のスクランブル発進も増えている」でも「航空自衛隊のスクランブルが増えている」以上に何も述べていない。具体的には「前置きが長くなったが、主権侵害といえば航空自衛隊のスクランブル(領空侵犯の恐れ[ママ]がある航空機への緊急発進が増えている)」と書いて終わりにしている。この文章も、スクランブルの回数と領空侵犯の回数を誤解している可能性を窺わせている。スクランブルは日本が勝手にやっているだけの話であり、その回数と領空侵犯には直接の関係はない。日本の防空識別圏は日露、日中の中間線の先に伸びている。中露が、それぞれの自国より沿岸を飛んでいてもスクランブルは掛かることもある。

 題名だけではなく、見出しも中身と一致していない。
「複合事態に備えうるF-35」
「米国のロジスティック戦略」
「官と民が意見疎通をする覚悟」
と3章立てになっているが、見出しと中身は乖離している。

 最初の見出し「複合事態に備えうるF-35」では、最初に「複合事態」として北朝鮮のミサイル発射と地震が重なったことを述べている。しかし、見出しで述べた事項はそれでオシマイになっている。「複合事態」とF-35導入の関係については何の言及もない。F-35なら「複合事態」を解決できるという説明は一切ないし、「複合事態」に対処するためにF-35が必要であるという説明も一切ない。もともと「複合事態」とF-35には何の関係もない。だから説明もできないのだが、それなら見出しを変えるべきである。

 次の見出しが「米国のロジスティック戦略」であるが、これは米国のロジスティック戦略とは何の関係もない。F-35の部品管理の概念であるALGSに関する内容である。このALGSの説明は長いが、理解として全体を説明せず、来歴ほかが全部ロッキードに集約される点だけを取り出して説明している。(全文4,000字中の1,500字) そして桜林さんが主張するのはは「情報が筒抜けになる事に抵抗を感じざるを得ない」だけであって、「米国のロジスティック戦略」とは全く関係がなく、またALGSの本質ともズレている。そもそもALGSは、乱暴に言えばF-35の部品管理であって、製造するロッキードとユーザーの間の話※※ に過ぎない。

 最後の見出しの「官と民が意見疎通をする覚悟」かんしては、どのような覚悟であるのかが全く示されていない。最後を「日本の覚悟が試されているのである」で〆ているが、その覚悟とは何かをハッキリさせていない。「共同開発」と「グローバルロジ」という言葉で説明して終わり。日本製の部品が戦争で使われる可能性や、コントロールできるかどうか難しいという問題点を直接示さないし、それを回避する方策も述べていない。

 桜林さんは記事名と中身が一致しないことが多い。『Themis』の記事では「海上自衛隊『潜水艦作戦』が領海を守る」§も乖離が大きい。「『潜水艦作戦』」でどうやって「領海を守る」のかと拝読したが、「『潜水艦作戦』」の話も「領海」の話も出てこない。F-35が「複合事態」と関係ないように、潜水艦と領海を守ることにも関係がないのだから仕方がない話である。

 いずれにせよ、桜林さんの記事名は、保守誌・右派誌を購読する読者を惹きつける題名ではあるが、中身が伴わない記事となっているのである。



※ 桜林美佐「航空自衛隊『F-35戦闘機』を徹底活用せよ - ロシアや中国による領空侵犯が急増し自衛隊のスクランブル発進も増えている」『Themis』(テーミス,2013.1)pp.80-81.

※※ 実際にはペリー級でやっているように、ユーザーが組合作って共有する話なんだけどね。

§ 桜林美佐「海上自衛隊『潜水艦作戦』が領海を守る」『Themis』(テーミス,2012.3)pp.76-77.
 副題で「国産潜水艦は09年度に予算がつかなかったことで国産・技術基盤に大ダメージが」とあるが、「国産・技術基盤に大ダメージ」の中身も説明しない。実際には、艦艇建造費は最長5年ある、その年に発注がなくとも、5、4,3,2年前に発注した艦艇は建造している。「大ダメージ」はない。また、毎年連続して潜水艦を発注する国は日本くらいなものであるが、英独仏伊でで「国産・技術基盤に大ダメージ」が あったという話は寡聞にして聞かない。
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