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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2013.02
17
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13:00
Category : 有職故実
 明治42年の新聞記事だけど。青学の学生、緒方○○さん(22)が、女をとっかえひっかえしたので拘引のち釈放された事件。なんでもギャルゲー並みに数十人食ったらしい、羨ましいというのはともかく。食われた方の女の言い分に平成を見たよ。

 ヒロイン側になる姉妹2人の言い分がふるっている。大宮の中田さん家の長女(20)と次女(17)の言い分なんだが
私達姉妹は緒方さんと同じく基督(キリスト)教信者で、姉妹ともに同氏と肉体の関係あるも精神は毫も穢れ居らず、神は浄き血を以て罪を浄め玉うなり肉体の関係は憚る処にあらず
「●驚く可き堕落男女学生」東京朝日新聞 明治42年11月20日より
「男を取っ替え引っ換えしたけど、心は清い」というような話は、本人の言い分にしていいものではない。若い尼僧が戦傷病者を救おうと、戦地にはいって強姦された後とか。あるいは苦界の話にしても、自堕落ではなく、心が清らかで信心篤く、喜捨や浮浪児保護に熱心な娼婦を指して、周囲が称賛する言葉である。あんま、自分から言い出すことじゃない。

 ああいう女は昔からいたということだ。「心はピュアなまま」とか自分から言い出す、発言小町タイプの女性は、明治の頃からいた。昔は性的に厳しい社会というのも、建前だけで、明治・大正・昭和初期まで内縁での結婚離婚は多い。大正デモクラシー、モダンや自由恋愛の中身も、中田さんの姉妹みたいなものだ。ただ、自分から言い出しはしない。一応は恥じるマネはするものだ。

 中田さん姉妹も、反発して口について出てしまっただけなのかもしれない。記事中で警察署長は「色魔の玩弄物となれるを毫も不貞の行為とは思わず不敵の態度なり」と言っている。そういう隙を見せてはいけないみたいな、田舎道徳的な説諭に、つい反発したのかもしれないけど。

 ちなみに緒方さんの戦法は、手紙を渡して面会し、断られたら短刀を出すというシンプルなもの。記事中に「美人録」と書かれた、いい女リストを持っていたという。手当たり次第に恋文出して、回答を強要し、駄目なときには「お前を殺して俺も死ぬ」らしい。これで数十人というのだから、何かの参考になるかもしれないが、お前を殺して俺も死ぬとか、短刀の方が、いまでは脅迫とか銃刀法でNGだね。



 ちなみに、記事には緒方さんや中田さん姉妹の下の名前、住所まで出ている。報道におおらかな時代であることが実感されるよ。
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