- 2023 . 05 «
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
- 6
- 7
- 8
- 9
- 10
- 11
- 12
- 13
- 14
- 15
- 16
- 17
- 18
- 19
- 20
- 21
- 22
- 23
- 24
- 25
- 26
- 27
- 28
- 29
- 30
- » 2023 . 07
Category : ナショナリズム
尖閣諸島に資源があり国益という主張は、原野商法と同じではないか。
争って尖閣諸島を日本のものにしても、現実的な利益はない。島にも、周辺の海底にも、海にも大した利益はない。陸地に利用価値はなく、海底資源も怪しく、漁業資源は既に話し合いが済んでいる。
尖閣諸島の陸上部には利用価値がない。土地は狭隘で水も電気もない。人件費が安く、労働環境が劣悪でも我慢した時代に鰹節工場や缶詰工場を作っても、最終的に撤退した立地である。
海底にあるといわれる原油や天然ガスも利益になりそうにない。原油も天然ガスも本当にあるか分からない。その上、商業化できる見込みも厳しい。
尖閣諸島の原油・天然ガスも怪しい。石油資源開発取締役だった猪間明俊さんは、石油はないだろうと見ている。砂岩もないので石油は見込めず、あっても比較的小規模の天然ガスであると主張している。実際に発見することは困難であり、試掘や輸送の観点から商業化は難しいとも言っている。※
唯一獲れる魚については、すでに日中で話し合いが済んでいる。双方の漁民がアクセスできるようになっている。漁業について尖閣諸島支配で争っても意味は無い。
日中漁業協定は、尖閣諸島周辺での両国漁民の操業を認めている。領有権ついては、それぞれに都合よく解釈できるように意図的に避けて、両方の漁民がアクセスできるようにしてある。質問主意書に対する答弁書を読むと、現実的にはどうでもいい島で衝突しないように、上手く避けていることが分かる。※※
尖閣諸島には、争う実利はない。陸上部分、周辺海底には資源や利益はない。漁業資源はあるが、すでに日中で話し合いが済んでいる。実利として争うほどのものはない。
海底資源云々の取り合いについては、原野商法に騙されたようなものだ。まだ発見されてもいないし、見つかっても儲かる見込みもない。しかし、儲かるのではないかという色気で引き釣りこまれてしまっている。
尖閣の問題は、結局は地図の上で何色に塗るかの問題である。これも、日本も中国も勝手に自国の色に塗れば済む。双方ともそれで満足する。逆に、相手の地図の色に文句をつけてもどうなるものでもない。
現実の利益がないことは、両国政府は承知している。しかし、すでにナショナリズムは吹き上がっている。領土は神聖である。また、領土を喪った政府は倒れることになる。そのため、日中は海上警察力を尖閣諸島に捧げるポトラッチを続けざるを得ない。仕方がないが馬鹿馬鹿しい話である。
※ 猪間明俊「資源開発の立場から見た尖閣諸島問題」『世界 別冊816』(岩波書店 2011.4)pp.36-44
猪間さんの主張は興味深い。周辺海域には地質的に堆積物がたまるので、化石燃料が生まれる場所である。しかし、地層的に砂岩ではないので石油はない。あってもガス田であり、その埋蔵資源量はサハリン2よりも1桁以上は小さい。そのガスを経済的に運び出す方法がない。中国は、大陸側にある条件のよい場所で試掘しているが、ガスを発見できるのが4割であり、人件費が安い中国でも商業化できるのは1割であるというものだ。
※※ 質問主意書と答弁書は次のとおりである。
「一九九七年のいわゆる日中漁業協定における尖閣諸島の取り扱い等に関する質問主意書」http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a181009.htm
「衆議院議員浅野貴博君提出一九九七年のいわゆる日中漁業協定における尖閣諸島の取り扱い等に関する質問に対する答弁書」http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b181009.htm
また「【佐藤優の眼光紙背】1997年11月11日付の小渕書簡があるため日本政府は尖閣諸島周辺の中国漁船を取り締まることができない」http://blogos.com/article/46928/では、条約に附属する文書として「漁業に関する日本国と中華人民共和国との間の協定第6条(b)の水域に関する書簡」があることを紹介し、全文を提示している。
争って尖閣諸島を日本のものにしても、現実的な利益はない。島にも、周辺の海底にも、海にも大した利益はない。陸地に利用価値はなく、海底資源も怪しく、漁業資源は既に話し合いが済んでいる。
尖閣諸島の陸上部には利用価値がない。土地は狭隘で水も電気もない。人件費が安く、労働環境が劣悪でも我慢した時代に鰹節工場や缶詰工場を作っても、最終的に撤退した立地である。
海底にあるといわれる原油や天然ガスも利益になりそうにない。原油も天然ガスも本当にあるか分からない。その上、商業化できる見込みも厳しい。
尖閣諸島の原油・天然ガスも怪しい。石油資源開発取締役だった猪間明俊さんは、石油はないだろうと見ている。砂岩もないので石油は見込めず、あっても比較的小規模の天然ガスであると主張している。実際に発見することは困難であり、試掘や輸送の観点から商業化は難しいとも言っている。※
唯一獲れる魚については、すでに日中で話し合いが済んでいる。双方の漁民がアクセスできるようになっている。漁業について尖閣諸島支配で争っても意味は無い。
日中漁業協定は、尖閣諸島周辺での両国漁民の操業を認めている。領有権ついては、それぞれに都合よく解釈できるように意図的に避けて、両方の漁民がアクセスできるようにしてある。質問主意書に対する答弁書を読むと、現実的にはどうでもいい島で衝突しないように、上手く避けていることが分かる。※※
尖閣諸島には、争う実利はない。陸上部分、周辺海底には資源や利益はない。漁業資源はあるが、すでに日中で話し合いが済んでいる。実利として争うほどのものはない。
海底資源云々の取り合いについては、原野商法に騙されたようなものだ。まだ発見されてもいないし、見つかっても儲かる見込みもない。しかし、儲かるのではないかという色気で引き釣りこまれてしまっている。
尖閣の問題は、結局は地図の上で何色に塗るかの問題である。これも、日本も中国も勝手に自国の色に塗れば済む。双方ともそれで満足する。逆に、相手の地図の色に文句をつけてもどうなるものでもない。
現実の利益がないことは、両国政府は承知している。しかし、すでにナショナリズムは吹き上がっている。領土は神聖である。また、領土を喪った政府は倒れることになる。そのため、日中は海上警察力を尖閣諸島に捧げるポトラッチを続けざるを得ない。仕方がないが馬鹿馬鹿しい話である。
※ 猪間明俊「資源開発の立場から見た尖閣諸島問題」『世界 別冊816』(岩波書店 2011.4)pp.36-44
猪間さんの主張は興味深い。周辺海域には地質的に堆積物がたまるので、化石燃料が生まれる場所である。しかし、地層的に砂岩ではないので石油はない。あってもガス田であり、その埋蔵資源量はサハリン2よりも1桁以上は小さい。そのガスを経済的に運び出す方法がない。中国は、大陸側にある条件のよい場所で試掘しているが、ガスを発見できるのが4割であり、人件費が安い中国でも商業化できるのは1割であるというものだ。
※※ 質問主意書と答弁書は次のとおりである。
「一九九七年のいわゆる日中漁業協定における尖閣諸島の取り扱い等に関する質問主意書」http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a181009.htm
「衆議院議員浅野貴博君提出一九九七年のいわゆる日中漁業協定における尖閣諸島の取り扱い等に関する質問に対する答弁書」http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b181009.htm
また「【佐藤優の眼光紙背】1997年11月11日付の小渕書簡があるため日本政府は尖閣諸島周辺の中国漁船を取り締まることができない」http://blogos.com/article/46928/では、条約に附属する文書として「漁業に関する日本国と中華人民共和国との間の協定第6条(b)の水域に関する書簡」があることを紹介し、全文を提示している。
スポンサーサイト
Trackback
Comment
No title
11:57
URL
編集
No title
20:37
URL
編集
元から日本のものなんですが。
Re: No title
00:53
文谷数重
URL
編集
しかし、中国人は元から中国のものだというし、中国もそう主張していますね
互いにそう主張するのは構いませんが、政凍経冷になるまで喧嘩するほど価値のある島かな、ということです
土地は使えない、海底資源はあるかわからない、漁業資源の話は既に付いている、
まあ、あとは地図に塗る色だけの話ですよ