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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2013.04
30
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Category : 有職故実
 まあ、遠隔操作のなりすましメールごときで3度めの逮捕、拘留期間最大60日の非道に近いものがあるよ。

 戦争直前に、英国系スパイの一斉検挙が行われている。だが、どうみても言いがかりに近い。昭和15年に「見よこのスパイ暗躍」とする記事が朝日に載っていた。在留英国系ほかの一斉検挙なのだが、その中にどうみても言いがかりがある。

 座礁船を「要塞地帯の水深を測るためのスパイ」として検挙している。東京湾要塞第一海堡付近での座礁(実際には座州だね)をスパイ行為と見なしている。だが、第一海堡付近での座礁例は多い。レーダ以前の霧中航行でハマり易かった場所である
古い水路誌には紛らわしいから注意しろと書いてあるし、実際に座礁した例も挙げられている。

 具体的には
英国貨物船○○○○○号は、去年初め横浜入港の途中東京湾要塞地帯第一海堡の西南西約千二百メートルの地点で座礁戦術を用いて約五十分に亙って水深等をはかり離州して入港した
「見よこのスパイ暗躍」『朝日新聞』(朝日新聞社,1940.8.1)p.2
である。

 しかし、スパイをする理由がない。まず、当時の第一海堡には軍事的な価値はない。また、第一海堡周辺の水深データは、英国も保有している。そして、第一海堡周辺では水深情報は軍事的な価値を持たない。どう見ても別件逮捕である。

 まず、当時の第一海堡には軍事的な価値はない。東京内湾の富津-第一海堡-第二海堡-第三海堡-観音崎線は、大正期には実際の防衛線と見做されていない。しかも関東大震災による被災・崩壊で各海堡は事実上廃止されている。当時の陸軍東京湾要塞の防御線は、東京外湾の洲崎-城ヶ島線であり、場合によれば大島も含む三角形のエリアにある。

 また、第一海堡周辺の水深データは、英国も保有している。特に情報を集める理由もない。明治以降、日本が行った水路測量での成果は、海図を交換する形で英米に提供されている。1920年に国際水路機構ができる以前から、日本は、世界で英米海図をトレースした日本語海図を使用しており、英米は東アジアで日本海図をトレースした英文海図を利用していた。明治大正の時期には、まだ軍機海図はなく、交換海図に海堡周辺の水深もすべて記載されている。

 そして、第一海堡周辺では水深情報は軍事的な価値を持たない。基本的に、富津岬からは極端な浅瀬で、第一海堡を通り越して第二海堡のすぐ東までは水深は4mもない。もともと第一海堡そのものに軍事的な価値もないが、その付近の海面も浅すぎて、軍事的にどう利用できるものでもない。

 座礁によるスパイ行為は、まずは英国人と貨物船への完全な言い掛かりである。※ 日本側が、法匪のように法令条文を用い、スパイに仕立てあげたものである。日本側が主張するスパイ行為によって、日本側は実際に被害を受けていない。実被害がない行為を無理矢理犯罪に仕立て上げる様は、なりすましメール事件での長期勾留に似ている。



※ 英国は報復としてロンドンで日本人を検挙している。これは三井と三菱の支店長だが「座礁によるスパイ」に較べれば故ない事ではない。日本商社は現地日本陸海軍武官の活動に相当の便宜を計っていた。
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