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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

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2013.05
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Category : 未分類
 防衛省が「敵基地の攻撃を検討」とあるのだが。まあ、いまどきに敵の上陸を待ってからしか使えない新戦車よりも優先するものは一杯あるという話だ。

 新防衛大綱策定にあわせて、敵基地攻撃能力保有を検討するとのこと。朝日新聞に出ている。※ まずはアドバルーンか、将来での地ならしなのだろう。まず、保有するかどうかでどれだけの反対が出るかを試す。あるいは、将来に具体的装備を購入するときに、急に言い出しても話が上手くいかない。北朝鮮がミサイルを振り回している時に言っておこうというものだ。

 それほどの反対もないだろう。20年まえなら憲法論議で面倒だったが、今はその辺りにアレルギーはない。専守防衛というお題目も、インド洋へ、イラクへ、アデンに自衛隊を派出している現状ではあまり意味もない。なにより、思い出したようにミサイルを発射して、核実験もやられている現状では、敵地攻撃への反論は少ない。

 だいたい、弾道弾やらを発射してから落とすよりも、発射する前に撃破したほうが効果的なのは当然の話で、それなりに賛同は得られるだろう。マヌケな連中は、巡航ミサイルで自走式発射機は狩れないみたいな、木を見て森をみないような話をするだろうが、別に発射機だけを叩く必要もない。ミサイルの整備工場や需品倉庫を叩いてもいいし、ミサイルが自在に通れないように橋を落としてもいい。やりようはいくらでもある。

 なんにしても、対上陸戦よりも重視すべきことはどんどん増えていくということだ。日本本土に敵の軍隊が上陸してくることは、まず重視するような脅威ではない。政治的にも無視して良いし、やりそうな国の軍事力を見てもそれは不可能である。※※

 それよりも、海外での日本の国益や、弾道弾に対する防衛、中国との軍隊を使ったゲームでの勝利が重視されている。海外での日本国益保護としては、海上輸送路の安定確保や国際社会との協調があり、その対処として海賊対策等に力をいれなければならない。弾道弾については北朝鮮の核とロケットがある行動がある。中国とのゲームも、尖閣諸島での睨みあいも含めて手を抜くことができない。

 敵基地攻撃能力は、悪手ではない。効用は、弾道弾対処だけではない。情勢次第では、国際貢献に資することもできる。中国とのゲームにしても、日本がそれを持つことで中国側に幾許かの負担を強いることもできるだろう。何の役にも立たない10式戦車を整備するよりも、敵基地攻撃能力保有のほうが、安全保障や国防の上ではよほど役に足つ。戦車教団を除けば、コレは誰もが頷ける話だろう。



※「敵基地攻撃能力保有を検討へ 防衛省、新大綱案へ議論」『朝日新聞デジタル』(朝日新聞,2013.5.18)http://www.asahi.com/politics/update/0518/TKY201305180002.html
※※ 基本、あまり準備する甲斐のない対上陸戦闘用に新戦車を整備することは、お金をドブに捨てるようなものだ。仮に10式戦車が優れていても、敵が上陸して来なければ役に立たない。そもそも仮に敵が上陸してきても、現今の90式戦車で十分である
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Comment

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No title

保守・右派系の一つ覚えのトマホークもなんだかなあと思いますが(ほかの対地兵器ではいけないのでしょうか?)、敵基地攻撃能力自体の否定もねえ

仮にミサイルそのものを狩ることが不十分であっても、第二波以降を妨害しうることができれば効果は大きいとは思うのですが

我が国の戦車整備の意義としては侵攻側に対し、戦車を打倒する準備を強いることにあります。

また、90式は大型過ぎ、北海道ならともかく、例えば第二列島線の一角と名指しされた九州ではとても運用できません。
そして、現在の歩兵用対戦車兵器に脆弱性高い74式ではすでに整備の意義が薄れています。

以上より、90式より小型の戦車は必要だと思いますよ。

10式のような更新ペースの遅いものである必要はないと考えますが。

No title

90式で十分なのは十分ですが、既に90式の生産ラインは閉じてしまっているのですから、10式を生産しなければ74式の退役に従って戦車の数そのものが純減してしまいます。
相手国からすれば、これはうれしい。

数を減らさないためにはどのみち新しく生産ラインを造らなければいけないわけで「今から新規に造るなら」90式を選択するメリットは少ない。

戦車に限らずどんな技術も放置すれば廃れます。
今必要ないからと研究・開発をしなければ、必要になった時には失われてしまっています。

Re: No title

お二方にまとめてですが

まず、今の状況で日本本土上陸は、脅威視する必要はないということです。
昭和17年の日本のようなもので、本土に侵攻軍が上陸してくる可能性は考える必要はありません。

侵攻への抑止力云々というにしても、日米同盟や積み上がった日本海空戦力、無駄に数の多い陸自によって、日本本土への上陸は、過剰なまでの抑止がなされています。そもそも周辺国には日本本土に上陸するに足る戦力を持ちません。

この状況で、本土防衛用の戦車は、数も質も既存の74と90で充分だということです。すでに戦車は余っています。それ以上が必要ないのに、無理して新戦車を作ることもないです。また、作った10式にしても90式と大差がないものであって、無理に更新する必要性もありません。

開発基盤や生産技術にしても、ドンドン高値になろうとしています。優先順位の低い戦車よりも優先すべき装備はイッパイあります。例えば海空装備や、陸でも通信・システムまわりです。それにお金を突っ込むためには、戦車は必要になるまで後回し、技術動向を注視する程度でいいでしょう。

No title

戦車買うよりもまともな通信機買う方が先だよね。
第二師団ですら通信環境は劣悪ですからね。

戦車を増やせ、10式を買えというのはあまりに
マリーアントワネットな発想ですよ。

技術が廃れるウンヌンは、まあ色んな評価が有るようでしょうが、思うに戦車の技術は廃れても日本の国防に大して影響が出ないような…

別に戦車を無くせとは思いませんが…今の規模で全て自前でやる必要はないと思います。少なくとも戦車は金出して売って貰えない兵器じゃない。

戦車技術・製造ラインの維持を目的に全体の優先順位を無視した調達やら、まだ国内で運用する分には延命近代化してまだ使える物まで捨てようとするとする現状は何かが違うような気がします。

No title

10年前、20年前に今の中国の経済発展を予測できた人がどれだけいたか?
韓国の反日思想は年々際立って来ているが、それを予測できた人はどれだけいるか?

「今」日本の周辺に上陸戦を仕掛けるほどの国が無いからと言って、将来も同じであるとは限らない。
今はまだ能力の確保に至ってないが、少なくとも中国と韓国は渡洋能力の獲得に国家意思を見せている。

それならば、その意思に備える必要があるのでは?

74式はもう耐用年数を過ぎているものもあり、今のペースで退役が進めば10年も経たずに74式は0になる。
現有する90式だけで十分な抑止力があるなら10式は必要無いと思いますが、どうでしょう?

「戦車以外の装備が先だ」と言うのは正しいです。通信・システム周りが重要と言うのもその通り。

ただ、それらは現行システムで「何とかなってしまっている」んですよね。何とかなっているなら予算はつけられない。
お金が無いのが全ての元凶。

10式も、74式の退役が無ければ予算は通らなかったでしょう。