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- » 2024 . 01
Category : ミリタリー
当節、地対艦ミサイルが売れないのも、旧式な現用品でも問題ないためだ。
チョット前のNavy Internationalに、Hewsonさんの"Fire From Shore"と題した地対艦ミサイルについての記事がある。
まず、最近はヨーロッパで地対艦ミサイルは全く売れていない。奇篤なのはポーランドで、ノルウェーのNSM対艦ミサイルを契約したのだが、それくらいのもの。逆にデンマークが2003年にハプーンを廃止したことが挙げられている。まずは、売れるものではないのだろう。
ヨーロッパで地対艦ミサイルが売れた国は、それほど多くない。その上、購入した国も、特に新型を要求せず、比較的古いものを現用している。
記事中、ヨーロッパで売れた国として、記述のポーランド、デンマーク以外としては、スウェーデン、フィンランド、クロアチア、ギリシア、キプロスを上げている。まず、RBS-15を地対艦ミサイルをしたものが、スウェーデンとフィンランドに売れた。また、艦艇用としてユーゴスラビアに売れた分を、クロアチアは地対艦ミサイルとして使用しているという。地対艦ミサイルとしたエグゾゼはギリシアとキプロスに売れている。記事ではギリシアのエグゾゼは現用であることが示唆されている。
地対艦ミサイルは、特に新型に更新されていない。比較的古いタイプがそのまま使われている点については、Hewsonさんは、今様の対艦ミサイルを地対艦で運用することに魅力がないためであるとしている。
記事では、地対艦ミサイル販売側のインタビューを再録している。※※ 要約すると「たとえ新型が200kmの射程があっても、技術的な自己満足にしかならない」というものだ。「そんな遠くの目標を狙うのは沿岸砲台の仕事ではない」「どこの軍隊もそんな射程は持て余す」とも言っている。
結局、地対艦ミサイルは、沿岸から見渡せる範囲を攻撃できればよい。欧州ではそう考えている。必要な能力は、一昔前の対艦ミサイルで充分ということだ。
長射程化した地対艦ミサイルを作っても、沿岸防衛としては持て余す。長射程をカバーするために、航空機や艦艇からリンクを貰うのも本末転倒な部分がある。航空機や艦艇が行動できるなら、ヨリ遠くで航空機や艦艇で沈めてしまえば良い。逆に、航空機や艦艇が行動できないなら、目標データが必要ないので、長射程は意味がない。レーダなり目視なり狙える、水平線の内側に対応できる射程で構わない。
沿岸防衛のために、射程で100km、200kmを誇る地対艦ミサイルは実用的ではない。
その点からみれば、日本の作った12式地対艦ミサイルは過剰性能であるし、前の88式地対艦ミサイルであっても高級に過ぎた。
地対艦ミサイルについて、日本での実用性を考慮すれば、射程は短くとも、むしろ軽いもののほうが良い。焦点となっている離島防衛を考慮すれば、機動力を重視すべきだろう。できればペンギンやマルテよりも軽くする。シースクア程度まで軽くすれば、ヘリで多数が容易に運べる。200kgを切れば、最悪、何人かで一輪車・リアカー・梶棒でも運べる。狭い掩体にも隠しやすい。射程も短くなるが、30kmもあればよい。照準も簡単で済む。目視でも10km先の艦艇は余裕で見える、高所に据えれば20km先も狙える。
しかし、日本の新型地対艦ミサイルは、単純にスペック的な高性能を狙ったものとなった。12式地対艦ミサイルは無意味に射程を伸ばし、無駄に垂直発射を採用し、しかも全部を新造するというマヌケなことをしている。※※※
日本が行う兵器開発は、開発自体が目的化している。現実に必要な性能や、実用性についての検討がなされているように見えない。地対艦ミサイルの場合には「たとえ新型が200kmの射程があっても、技術的な自己満足」「そんな遠くの目標を狙うのは沿岸砲台の仕事ではない」「どこの軍隊もそんな射程は持て余す」といった問題は、全部無視したのだろう。結局は、スゲー技術、スゲー性能を実現したい技術サイドの自己満足にしか見えない。
※ Hewson,Robert"Fire From Shore""IHS Jane's Navy International"(IHS,2012.11)pp.14-18
※※ 同 p.15 "Our European Program Official said"以降の部分
※※※ 12式について、次の
無意味に長射程については「無駄遣い 12式SSM」http://schmidametallborsig.blog130.fc2.com/blog-entry-307.html
無駄に垂直発射については「自己満足のための垂直発射方式」http://schmidametallborsig.blog130.fc2.com/blog-entry-428.html
全部を新造するマヌケは「ハープーンだと改修で済ませてる」http://schmidametallborsig.blog130.fc2.com/blog-entry-434.htmlで述べている。
そもそもなら、チリ海軍やサウジアラビアみたいに、陸自の大型ヘリにASM積んだほうがいいと思うけどね。
チョット前のNavy Internationalに、Hewsonさんの"Fire From Shore"と題した地対艦ミサイルについての記事がある。
まず、最近はヨーロッパで地対艦ミサイルは全く売れていない。奇篤なのはポーランドで、ノルウェーのNSM対艦ミサイルを契約したのだが、それくらいのもの。逆にデンマークが2003年にハプーンを廃止したことが挙げられている。まずは、売れるものではないのだろう。
ヨーロッパで地対艦ミサイルが売れた国は、それほど多くない。その上、購入した国も、特に新型を要求せず、比較的古いものを現用している。
記事中、ヨーロッパで売れた国として、記述のポーランド、デンマーク以外としては、スウェーデン、フィンランド、クロアチア、ギリシア、キプロスを上げている。まず、RBS-15を地対艦ミサイルをしたものが、スウェーデンとフィンランドに売れた。また、艦艇用としてユーゴスラビアに売れた分を、クロアチアは地対艦ミサイルとして使用しているという。地対艦ミサイルとしたエグゾゼはギリシアとキプロスに売れている。記事ではギリシアのエグゾゼは現用であることが示唆されている。
地対艦ミサイルは、特に新型に更新されていない。比較的古いタイプがそのまま使われている点については、Hewsonさんは、今様の対艦ミサイルを地対艦で運用することに魅力がないためであるとしている。
記事では、地対艦ミサイル販売側のインタビューを再録している。※※ 要約すると「たとえ新型が200kmの射程があっても、技術的な自己満足にしかならない」というものだ。「そんな遠くの目標を狙うのは沿岸砲台の仕事ではない」「どこの軍隊もそんな射程は持て余す」とも言っている。
結局、地対艦ミサイルは、沿岸から見渡せる範囲を攻撃できればよい。欧州ではそう考えている。必要な能力は、一昔前の対艦ミサイルで充分ということだ。
長射程化した地対艦ミサイルを作っても、沿岸防衛としては持て余す。長射程をカバーするために、航空機や艦艇からリンクを貰うのも本末転倒な部分がある。航空機や艦艇が行動できるなら、ヨリ遠くで航空機や艦艇で沈めてしまえば良い。逆に、航空機や艦艇が行動できないなら、目標データが必要ないので、長射程は意味がない。レーダなり目視なり狙える、水平線の内側に対応できる射程で構わない。
沿岸防衛のために、射程で100km、200kmを誇る地対艦ミサイルは実用的ではない。
その点からみれば、日本の作った12式地対艦ミサイルは過剰性能であるし、前の88式地対艦ミサイルであっても高級に過ぎた。
地対艦ミサイルについて、日本での実用性を考慮すれば、射程は短くとも、むしろ軽いもののほうが良い。焦点となっている離島防衛を考慮すれば、機動力を重視すべきだろう。できればペンギンやマルテよりも軽くする。シースクア程度まで軽くすれば、ヘリで多数が容易に運べる。200kgを切れば、最悪、何人かで一輪車・リアカー・梶棒でも運べる。狭い掩体にも隠しやすい。射程も短くなるが、30kmもあればよい。照準も簡単で済む。目視でも10km先の艦艇は余裕で見える、高所に据えれば20km先も狙える。
しかし、日本の新型地対艦ミサイルは、単純にスペック的な高性能を狙ったものとなった。12式地対艦ミサイルは無意味に射程を伸ばし、無駄に垂直発射を採用し、しかも全部を新造するというマヌケなことをしている。※※※
日本が行う兵器開発は、開発自体が目的化している。現実に必要な性能や、実用性についての検討がなされているように見えない。地対艦ミサイルの場合には「たとえ新型が200kmの射程があっても、技術的な自己満足」「そんな遠くの目標を狙うのは沿岸砲台の仕事ではない」「どこの軍隊もそんな射程は持て余す」といった問題は、全部無視したのだろう。結局は、スゲー技術、スゲー性能を実現したい技術サイドの自己満足にしか見えない。
※ Hewson,Robert"Fire From Shore""IHS Jane's Navy International"(IHS,2012.11)pp.14-18
※※ 同 p.15 "Our European Program Official said"以降の部分
※※※ 12式について、次の
無意味に長射程については「無駄遣い 12式SSM」http://schmidametallborsig.blog130.fc2.com/blog-entry-307.html
無駄に垂直発射については「自己満足のための垂直発射方式」http://schmidametallborsig.blog130.fc2.com/blog-entry-428.html
全部を新造するマヌケは「ハープーンだと改修で済ませてる」http://schmidametallborsig.blog130.fc2.com/blog-entry-434.htmlで述べている。
そもそもなら、チリ海軍やサウジアラビアみたいに、陸自の大型ヘリにASM積んだほうがいいと思うけどね。
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Comment
No title
01:23
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90式艦対艦誘導弾との共通化という面もあるかと思います。
まあそれでも、隅田金属さんの言う話と同じ話で、では艦艇のほうに先に装備したほうがよいのではないかとか、それでもミサイル以外も更新する必要はあったのか、という疑問点もありますが
No title
17:30
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地対艦型はトルコも導入するようですね。
No title
23:26
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Re: No title
01:06
文谷数重
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複数同時弾着とか、潜水艦発射のUSMのように発射位置秘匿は、相手が余程の艦隊でもない限りは必要はない、贅沢な部分だと考えているのでしょう。
実際に、状況が分かりにくく、観測手段も限定される陸上部隊が扱うものとしては、そんなものではないかと。
No title
23:00
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200kmの射程があれば、仮に舞鶴に揚陸しようとする敵艦があったとして、それを鳥取や能登半島から阻止できますから、配置数を減らせる。
射程の短いミサイルで長大な日本の海岸線を防御しょうとすると膨大な数が必要になりますし、そこに貼り付ける人員・発射/指示装置・レーダー・電源車も比例して増大します。
目視では夜間や悪天候下での発見は遅れますし、揚陸艦が仮に25ノット以下だとしても、着岸の減速を含めても15分もあれば10kmの距離はクリアできますからね。人力での24時間監視は厳しいです。
レーダーに頼らざるを得ない。
No title
23:21
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射程の短いPAC-3を日本中に配備して、膨大な数の拠点に隊員を配置するか、射程の長いTHAADにして全体の配備数を減らすか?のような。
Re: No title
03:01
文谷数重
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ただし、実際に200kmの射程いっぱいで使う事もそれほど考えられないのです。陸式の考えでも大概は上陸正面で使うものです。各国の沿岸砲兵そのものも要塞的に海峡や水道を扼するように使うものですから。
ですから、提示されたように日本中の海岸線を守るみたいなことはしません。それこそ航空機や艦艇の仕事ですし、それも沖合へ、外洋へ出て行くもので、貼り付けつものでもありません。
No title
21:58
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多重配置で、飽和攻撃もありです。
与那国から、対馬まで、最少3システム以上あれば、東シナ海は、韓国から台湾まで封鎖です。
No title
22:13
名無し
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ロシアが開発して北方領土に配備した
バルとバスチオンについてどのような説明をされるのか。
バルは百数十キロの射程があり、
バスチオンともなれば三百キロを超えます。
長射程地対艦ミサイルが実用的でないなら
ロシアすら開発と配備をする意義は何もないでしょう。
Re: No title
23:47
文谷数重
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編集
> 長射程地対艦ミサイルが実用的でないと言うのであれば、
> ロシアが開発して北方領土に配備した
> バルとバスチオンについてどのような説明をされるのか。
> バルは百数十キロの射程があり、
> バスチオンともなれば三百キロを超えます。
> 長射程地対艦ミサイルが実用的でないなら
> ロシアすら開発と配備をする意義は何もないでしょう。