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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

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2013.05
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Category : 未分類
 まあ、文芸作品だからね。あまり気にするものではない。

 文藝春秋に池上さんの「米英を畏怖させた『三人の艦長』」※ という記事がある。ご本人原作の映画『真夏のオリオン』とのタイアップ記事なのだが、非常に読みやすい。挙げられたイ58、雷、矢矧各艦長の判断を評価する池上さんの主張には、賛同の他はない。池上さんの記事からは、お三方の、高潔な人格、人間的な魅力までも伝わってくる良記事である。未読であれば読むべき記事だろう。

 ただし、アレっと思う点がいくつかある。

 駆逐艦「雷」の機関がディーゼルであるとするのは、明白な誤りである。

 池上さんは雷のエンジンはディーゼルで、停止すると再始動に20-30分を要するとしている。このあたりは「雷の艦長が英艦漂流者を保護した」と顕彰する上で、危険を顧みずと評価するためなのだろう。しかし、実際は、蒸気艦である。また蒸気艦でも、ボイラに充分な圧力があれば、直ぐに動き出すこともできる。ボイラを運転したまま、洋上で停止している蒸気艦は、車に例えれば、エンジンは動いているがギヤがニュートラルになっている状態に過ぎない。蒸気を前進段に入れれば、直ぐに航進を起こせる。

 他にも、軍艦「矢矧」艦長を顕彰する部分にも「アレ」と感じる点がある。矢矧沈没での生存者が多い理由を救命用に多量の木材を積んだためとするもの、大和の主砲火力を陸軍2ヶ大隊相当とする点がそれである。

 ただし、艦長を顕彰するための読み物であるので、このあたりは大した問題ではない。そもそもで言えば、潜水艦の「イ58」と、駆逐艦の「雷」の二人は艦長じゃない、潜水艦長と駆逐艦長になってしまう。だが、お三方の事績を顕彰する読み物である。ディーゼル、木材、2ヶ大隊と同じように些細な問題である。

 それよりも残念な点は、同時に日本は捕虜の処分をしていたことに触れない点にある。「米軍は漂流者を機関銃で撃ち殺すような非人道行為をしていた、それに較べれば、日本海軍の漂流者救助はなんという武士道精神」といった評価は、一面的で問題であるように見える。海軍水上艦でも、捕虜を処分したことがある。ご存じないのかもしれないが、その点に触れない点は、記事にとって残念な点ではないか。

 ディーゼル、木材、2ヶ大隊といった点は、瑣末な誤りであるが、捕虜処分で目を瞑っていることは、日本海軍への顕彰に関係する本質的な問題であるためだ。

 文芸作品の類で、誤認を云々するのは、本質的な部分であるべきである。瑣末な部分をを云々すべきではない。文芸作品として素晴らしいことに較べれば、瑣末な部分での誤りは大した問題ではないからだ。

 だが、木を見て森を見ない御仁は、瑣末な誤りだけを問題として糺そうとしている。一部の人が、取るにたらない事実誤認を挙げて文芸作品を非難するときに「過ちを糺す」「嘘」「捏造」という。しかし、それはディーゼル、木材、2ヶ大隊といったような瑣末な部分である。

 実際に、「海兵隊は云々」程度の瑣末な話で発火する人がいる。
https://twitter.com/obiekt_JP/status/337134351319965696
「間違い箇所を直接指摘したのですが、直す気は無い」
https://twitter.com/obiekt_JP/status/337152752675336193
「セリフを変え」ろと他者の著作物に文句もつけている
まずは、木を見て森を見ない好例だ。※※

 そんな些細なことを見て眼を三角にしてどうするのかね。それよりも、参加者全員が話題にしようとしない海兵隊へのネガティブ・イメージについて話した方がよほど生産的ではないのかね。

 海兵隊に肯定的な立場でも問題点を論じることはできるだろう。日本での海兵隊駐留の価値を肯定的に捉えた上で「なんで海兵隊が日本の地元で評判が悪いのか」や、それに付随する「平成に入ってまで『ビンのふた』とか、自分たちが占領軍だと思っているんじゃないの」といったあたりを問題とする意識があってもよさそうなものだ。しかし、出てくる話は海兵隊を全肯定するだけで、問題視する部分は瑣末な点ばかりである。しかも、文芸作品での問題点を指摘し、それを糺すことにより「正しい軍事知識の普及」とするのは、あまりにも浅薄にしか見えないものである。



※ 池上司「米英を畏怖させた『三人の艦長』」『文藝春秋』(文藝春秋,2009.8)

※※ 議会措置なしで投入できるのは海兵隊だけというのは、歴史的に見れば正しいのではないかね。
   第二次世界大戦まで、陸軍の海外投入は議会措置がなければできなかった。法令的には、大統領が行けといえば行けるのでしょう。だが、技術的な問題から陸軍は、命令だけでは海外に行けない。陸軍をは外征編制にする必要がある。そのためには議会の措置が必要になる。例えば動員や、動員と並行する装備購入、海外活動への経費支給といった予算承認。こういったといった議会措置がなければできない。
   大統領が、手軽に、直ぐに動かせる手駒が陸軍ではなく海兵隊であったことは、中南米への投入なんか見ても明らかなんですけどね。
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Comment

非公開コメント

No title

まあ、他人の些細な過ちを責める前に、新戦車七億円とか、ご自分の本質的な過ちを認めるべきだとおもうけどね。

彼らが海兵隊を全肯定するのは、「萌え」の対象だからでしょう。
そうでなければあんなキャピキャピしたマンガは描けませんよ。
歴女とかいう戦国武将同士のホモマンガを描いて喜んでいる連中がいるでしょう。
あれと同じなんじゃないですか。
萌えの対象物を客観的に是々非々で論じるなんて無理ですよ。
「俺達は間違ってないんだから正しいんだバカヤロウ」で終わりだと思います。