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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2013.06
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Category : ミリタリー
 横須賀総監部に土嚢で掩体作ったことあるのだが、その土嚢は転用されてインド洋にまで持っていかれたよ。

 2001年の9.11で、横須賀で土嚢で掩体を作った。前年に施設学校に行っていたという理由だけで己が担当になったのだがね。耐弾性その他で施校教官、課程主任の3陸佐に助けを求めた。だがその時に、危機感の差かね、まあ理論的なことから始めるのには参った。勝田の学校と米軍基地隣の横須賀では全然感覚が違うものだ。でもま、作業や調達の根拠となる小銃弾に対するストッピングパワー一覧をFAXでもらえたので助かった。

 問題は、土嚢を組む作業員がいないこと。最初は、普通に土木用の土嚢にそこいらの土を詰めるつもりだった。しかし、総監部と通信隊、造補処は、そんな仕事に作業員は出せないという。そこで課長が決心してくれた。「土の詰まった土嚢を買う、それをフォークで下ろすから、積み上げるところだけ頼む」という話がまとまった。

 土入り土嚢なんて調達したことはない。まあ、そのあたりは部内出の同僚がやってくれた。砕石屋だかコンクリ屋だかと、ゲラゲラ笑いながら見積もりを頼んでいたのを憶えている。土木用のナイロンザクザク編の汎用土嚢とそれに詰める砂よりも、人件費と積み込みと輸送費が数倍、ヘタすると数十倍するから平素はありえない話だ。

 土嚢が届いた後が己の仕事。場所は決めてある。正門の警備に役立ち、外や米軍から見えやすい場所で、水がたまらない場所はここしかない。実際のドンパチに役立つなんてのは二の次の話で、とにかく外に警備体制が厳重になったことをアピールすることを優先した。だから見えるように総監部の真ん前。そして、水が溜まらないように下に排水口のある場所を選んだ。


大きな地図で見る

 前日に縄張りをしておいた。すずらんテープと3寸の釘で、8尺四方(1間チョイだったと思う)で縄張り。ココにテープの通り並べればできることを示すための措置。円形に積むのは難しいので諦めて四角にした。

 当日は、布積みの方法と示し、安全対策を達して作業開始。建物の外壁タイルを棒で指して「崩れるから、縦目を通すな、横目を通せ」、腰を痛めるので運ぶのは二人一組。体が弱いのは、平スコップで土嚢を傷つけないように締固め。それだけの指図だから3分もかからない。

 作業開始以降は、己は現場で積み方の指示。普通は左右を長く、横にしてに積むのを、縦方向にして、しかも弾が通らないように厚く2ヶ積、なので最初の一段の指図は面倒だが、2段目は「間に積め、縦目を通すな」だから楽ちん。30分もかからず修了。

 以降の自隊警備でそこに人員を配置したが、雨の日に天井がないのは困るという話も出てきた。まあ、陸空じゃ出ない話だろう。兵隊なんで傘させないので冷える。己は別にテント張っても構わないのだけれども、その前に、上がそれは贅沢だろうという話で終わった。雨で足許がぬかるむという話は、造補処あたりからの派出人員が木製パレットを敷いて解決していた。その頃には、ケブラーヘルメットやアーマーベストも貸しだしていたが、基本は腰に手ぬぐい、ズボンの裾を靴下に入れる海自戦闘服装なので、足許は短靴、背広の時に履くような普通の靴なので、結局は、パレットすのこが使われていた。

 ちなみに、自隊警備といっても、あまりに人が足りないのでフネからも人を借りた。己等が作戦室に引っ張られて人が足りないようなときには、停泊中の護衛艦、通信当直艦から人を引っ張って警備に当てた。これは部長が旧部下艦長を頼っての、全くの横車だが、ありがたいことこの上なかった。

 その土嚢掩体だが、後にリサイクルされた。翌年か、横須賀から最初にインド洋に出すときに、そのフネから土嚢を貸してくれという話があった。残念だが艦名を覚えていない、今調べると調べると「せとぎり」っぽいが、「あめ」か「なみ」だったような気もする。直ぐに「いいよ、あげる。好きに取りに来ていい」と返答したけどね。そのフネ、機関銃のM2も補給艦から借りたらしい。※ 機関銃ともなると責任問題があるので、帳簿上は自分のモノにしてしまうのだけど、いずれは返すという口約束なのだがね。まあ借りものだらけの海外派遣だなと思ったよ。



※ 新鋭艦に搭載している、「新型機関銃」62式はよほど信用がないらしい。知っている話ではM2を借りた話がこれ。海曹の話だと、わざわざM1919-A4を乗せて行って、ホニャララでホニャララしたこともあったとか言う。
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