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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
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2013.07
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Category : ミリタリー
 中国でも陸軍から海軍への転換をしているのに、日本ができないのは何事なのだろうか?

 アジアでの軍事力整備は、海軍に焦点が絞られている。各国とも、海上交通や海洋権益確保がメインになっている。そのため、海軍力を増やすことに躍起になっている。

 海軍力を増やすには財源がいる。

 国防費を増やすことは難しい。どこの国も、対外強行派や愛国者面がいて、軍隊の御用聞きみたいな発言をしながら「国防費は増やすべきだ」というのだが、その金を都合する方法なんかありはしない。

 だから、普通は陸軍あたりを整理して、海軍に振り向ける。それは中国でも同じである。

 今月の『鏡報』に水石さんの「中国陸軍番号的秘密」※ がある。今まで中国は、解放軍部隊については秘匿のため番号を振っていた。戦争中の日本でやったように、第39集団軍を65321部隊と呼ぶ方法である。その中国が、公開の場で本来の部隊名を使うようになったという記事である。※※

 ただし、記事で興味を惹かれるのは、人民解放軍での陸軍整理の歴史である。解放軍は、建国以来の70ヶ軍を段階的に縮小し、18ヶ軍にしたとしている。1949年から82年まで15ヶ軍を減らし、85年の100万人軍縮で8ヶ軍、97年の50万軍縮で2ヶ軍、2003年の20万軍縮で4ヶ軍を減らした。並行して、4ヶ軍を海軍、6ヶ軍を空軍、3ヶを第二砲兵、3ヶ軍を公安、7ヶ軍を建設部隊に振り分けている。合計減少数は-52ヶ軍で、70ヶ軍から18ヶ軍体制に至った、と水さんは述べているのである。

 中国の場合でも、海空軍を増強や、陸軍の高度化のためには軍縮をしているわけだ。

 特に東アジアでは、各国とも陸軍が多すぎた。各国は自国防衛に必要以上の陸軍を抱えており、海空軍力は比較的弱体である。

 旧自由主義陣営は、アメリカの方針により陸軍優先とされていた。アジアの戦争はアジア人にというアメリカの方針により、陸軍建設を優先され、海空軍は米海空軍に依存すればよしとされていたため、海空軍は比較的少数となった。

 旧共産主義陣営は、数で圧倒できるという頭で、陸軍力を優先していた。海空軍は限定された能力で充分と考えられていたため、沿岸防備用程度に限定されていた。

 各国が海洋を重視するようになって、陸軍整理により、海軍への傾斜配分をしたのは当たり前の話だということだ。なんせ陸軍は余っており、海軍は足りないのである。それは中国でも、政治判断で行なっているのである。

 それを判断できないのは、日本くらいなものだろう。日本の硬直した体制は、陸を大幅に減らして海空を増やすという選択ができなかった。そのため、いまだに池田・ロバートソン会談以来の、無駄なまでの陸上戦力整備が続いているのである。

 かつての陸自18万人は、米要求10ヶ師団30万人のプランそのままである。対ソ・対中防衛戦を独自遂行するための10ヶ師団の戦闘部隊を揃えて、省ける後方支援を省いた体制である。日本の暴発を防ぐため、なるべく海空軍を持たせない発想もその背後にあった。

 その陸自18万人から15万人への定数切り下げも、殆どは陸自維持の発想である。18万人体制でも、常に実数は15万人程度であった。

 陸自・防衛省の組織維持で、海軍力、あるいは海空戦力強化は邪魔されているのである。意味のない陸自人員の確保に汲々としていると、海空強化は難しく、それだけでなく、陸自近代化の足も引っ張られるだろう。

 日本も陸自人員を一気に減らさないと、そのうち中国に負けるのではないかな。



※  水石「「中国陸軍番号的秘密」『鏡報』432(香港,鏡報文化企業有限公司,2013.7)pp.58-61.

※※ 水石さんは、その話ついでに、陸軍各軍の称も付している。
   北京の近所、河北にいる38集団軍なら「万歳軍」。
   上海近所の浙江湖にいる第1集団軍なら「一号軍」。
   13集団軍は「山中猛虎」だが、この13軍は中印紛争、中越紛争、カンボジア・ハイチ・アフリカでの平和維持活動、国内治安戦であるチベット平定、新疆平定、雲南省あたりかの西南剿匪に参加し、1968年の重慶治安維持が実績として揚げられている。
   第20集団軍は「蘆蕩火種」で、朝鮮戦争や対国府戦への参加で有名らしい。
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Comment

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フツーに考えて、国民巻き添えの本土決戦より、海上で撃破してくれた方がいいのは当たり前の話で。海が緩衝地帯になってるんだから、そこを最大限利用するべきというのも、すぐわかるはずで。
素人でもそこまではわかりますわな。

それができないということになれば、シビリアンコントロールが機能してないことになると思いますよ。
本来、政治レベルでどうするという判断がないといけないし、それを専門的に補佐するのが内局と統幕なんでしょうが、立場が逆転してるということじゃないですかね?
まあ、憶測の話ですが。

No title

今の部隊数でも兵站が全く足りずに、戦争なんぞできない状態ですしね。まあ、戦争するきがないとか思えない。

まあ別に「戦車は後回しで良くて、人件費が掛かる陸兵は少なめで国家間の覇権争いで重要な海空戦力にリソースを回す」という発想を批判する方々は我が国の国家防衛上で一番痛いのが海洋支配ができなくなった時だとわかってるのですかね?それ
ともわかってるのに何が邪魔しているのか…

そもそも海洋支配ができなくなったら戦争どころではなくなるのは既に前戦争で痛い程経験している筈なのに。

大体前戦争でも避けた本土決戦は今は余計出来ないでしょう…

Re: タイトルなし

 池田・ロバートソン会談の時も、池田勇人は「そんなに陸兵は要らない、それよりも海空戦力よこせ、そっちのほうが死活的だ」みたいな主張しているんですよ。
 ただ、その時に決まった18万体制が前例になって、50年後も足枷になっているわけです。まあ、18万揃えても、陸は70年代まで自前装備はあんまり買えませんでしたし、その後も装備改変は遅れ気味で今日まで来ているわけです。
 そのあたりは、60年代に堂場肇さんが言ってますけど、供与された援助兵器だのみで、本当に18万は維持できる人数なのかという話になってます。