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- » 2024 . 01
Category : 未分類
米国の制裁に乗っかって、日本もイラン産原油輸入を一部遠慮している。だが、新政権ができたからとこじつけて、イラン産原油の輸入を増やしてもいいのではないか。
米国がイランを制裁する理由は、核開発であるとしている。しかし、なんだかんだ言って、イランは届出した核関連施設へのIAEAの査察も受けている。今問題になっているのは、届出していない施設へのIAEAの立入りである。米国はそこに核濃縮施設があるとしている。
ただ、これも米国による圧迫ではないのか。イランと米国が対立関係となった歴史を見ると、米国が一方的に追い詰めている。中国大陸、ベトナム、キューバでやったのと同じで、当初は関係改善を望んでいた相手を、きつく追い詰めて敵に追いやっている。イランは濃縮済したウランと、外国製の燃料用ウランを交換する話に同意している。だが、米国が制裁解除に同意しないのでその話は止まったままになっている。イランを追い詰める材料がなくなると困るからではないかと邪推したくなる。
日本にとっては、イランを敵に回す必要はない。イランが何をしようが、日本としてはあまり困らない。ホルムズ海峡の安全だけを保証してくれれば良い。安全を脅かした時、日本は何やっても通るぞと説明すれば、海峡封鎖実施を難しくする要素にもなる。
日本としては、イランが孤立気味であることは利用すべきではないか。それであれば、何かあった時にも原油を売ってくれる国として利用できる。また、イランを説得できるかもしれない国であるという雰囲気をもたせることもできる。そのためには、原油輸入量と対イラン投資を増やしてもいいのではないか。
米国が怒るということも、それほどは気にすることはない。米国は、結局は問題化できない。キューバ産糖輸入の前例がある。
日本は、米国制裁下のキューバから砂糖を輸入していた。1960以降、米国はキューバ締付を始めている。日本はその状況で、キューバ糖輸入をむしろ拡大している。この点は、田中高さんの「日本・キューバ貿易と対日政策」に詳しい。※
日本にとって、キューバ糖は魅力であった。アメリカ市場を失ったキューバ糖は高品質、安価である。逆に、キューバ糖以外は、米国の需要急増により効果となっていた。また、キューバも対日輸出を優遇した。価格は国際価格よりも安価とし、支払い条件としても、代金の8割を日貨購入に当てるという条件である。
結果として、日本は、1960-70年代にキューバ貿易を急膨張させたのである。この点について米国は不満であったが、自由貿易を押し出した日本にそれほど強くは出られなかった。キューバ糖についての不満は、対日要求順序では一番下であり、さらに駐日大使により、問題化しないようにやり過ごされていた。なお、日本はキューバ制裁にも協力する態度も示していた。戦略物資を輸出しない限りは、米国は日本と揉め事を起こそうとはしなかったわけである。
イランから原油を輸入しても、米国はそれほど強く出てこない。キューバ糖の例から見れば、兵器生産や核生産に転用できるような技術を輸出しない限り、対日関係を悪化させるほどの問題とはならない。むしろ、米国がそれなりに困る程度の、対米交渉のカードになるのではないか。
なにより、良質の原油や天然ガスを安く買うチャンスである。市場から排除されたイラン石油は、品質に比較し安価に購入できる。日本から物を売りつけるにも都合よい国だ。なんせ金持ちの国である。自動車だけではなく、いま話題のインフラを売りつけるにもちょうどいい。その上、イラン新体制を説得できる国としての立場を獲得できる可能性もある。
輸入拡大の理由は、イラン新体制成立あたりにこじつければいいのではないか。核開発にしても、それなりな合理的説明を得たとでもすればいいだろう。日本としてはIAEAの求める全面的な核査察を受け入れるように強く要求しておけばそれで済むのではないか。※※
※ 田中高「日本・キューバ貿易と対日政策」『国際政治:戦後日本外交とナショナリズム』(有斐閣,2012.10)
※※ 逆に、IAEAの要求する無差別の査察を受け入れた場合、どうなるんだろうね。イランの濃縮は医療用であるという説明は苦しいが、核爆弾そのもの以前の段階であった場合には、それ以上にイランを責めきれるものでもないような気がする。なんせ、隣のパキスタン、インド、近所のイスラエルの例もあるわけだ。
イランも、なにかあった時のために、なにかを作るための、なにかの材料だけを手許に置いとこう程度で我慢すれば、それで済んでしまうのではないかね。
米国がイランを制裁する理由は、核開発であるとしている。しかし、なんだかんだ言って、イランは届出した核関連施設へのIAEAの査察も受けている。今問題になっているのは、届出していない施設へのIAEAの立入りである。米国はそこに核濃縮施設があるとしている。
ただ、これも米国による圧迫ではないのか。イランと米国が対立関係となった歴史を見ると、米国が一方的に追い詰めている。中国大陸、ベトナム、キューバでやったのと同じで、当初は関係改善を望んでいた相手を、きつく追い詰めて敵に追いやっている。イランは濃縮済したウランと、外国製の燃料用ウランを交換する話に同意している。だが、米国が制裁解除に同意しないのでその話は止まったままになっている。イランを追い詰める材料がなくなると困るからではないかと邪推したくなる。
日本にとっては、イランを敵に回す必要はない。イランが何をしようが、日本としてはあまり困らない。ホルムズ海峡の安全だけを保証してくれれば良い。安全を脅かした時、日本は何やっても通るぞと説明すれば、海峡封鎖実施を難しくする要素にもなる。
日本としては、イランが孤立気味であることは利用すべきではないか。それであれば、何かあった時にも原油を売ってくれる国として利用できる。また、イランを説得できるかもしれない国であるという雰囲気をもたせることもできる。そのためには、原油輸入量と対イラン投資を増やしてもいいのではないか。
米国が怒るということも、それほどは気にすることはない。米国は、結局は問題化できない。キューバ産糖輸入の前例がある。
日本は、米国制裁下のキューバから砂糖を輸入していた。1960以降、米国はキューバ締付を始めている。日本はその状況で、キューバ糖輸入をむしろ拡大している。この点は、田中高さんの「日本・キューバ貿易と対日政策」に詳しい。※
日本にとって、キューバ糖は魅力であった。アメリカ市場を失ったキューバ糖は高品質、安価である。逆に、キューバ糖以外は、米国の需要急増により効果となっていた。また、キューバも対日輸出を優遇した。価格は国際価格よりも安価とし、支払い条件としても、代金の8割を日貨購入に当てるという条件である。
結果として、日本は、1960-70年代にキューバ貿易を急膨張させたのである。この点について米国は不満であったが、自由貿易を押し出した日本にそれほど強くは出られなかった。キューバ糖についての不満は、対日要求順序では一番下であり、さらに駐日大使により、問題化しないようにやり過ごされていた。なお、日本はキューバ制裁にも協力する態度も示していた。戦略物資を輸出しない限りは、米国は日本と揉め事を起こそうとはしなかったわけである。
イランから原油を輸入しても、米国はそれほど強く出てこない。キューバ糖の例から見れば、兵器生産や核生産に転用できるような技術を輸出しない限り、対日関係を悪化させるほどの問題とはならない。むしろ、米国がそれなりに困る程度の、対米交渉のカードになるのではないか。
なにより、良質の原油や天然ガスを安く買うチャンスである。市場から排除されたイラン石油は、品質に比較し安価に購入できる。日本から物を売りつけるにも都合よい国だ。なんせ金持ちの国である。自動車だけではなく、いま話題のインフラを売りつけるにもちょうどいい。その上、イラン新体制を説得できる国としての立場を獲得できる可能性もある。
輸入拡大の理由は、イラン新体制成立あたりにこじつければいいのではないか。核開発にしても、それなりな合理的説明を得たとでもすればいいだろう。日本としてはIAEAの求める全面的な核査察を受け入れるように強く要求しておけばそれで済むのではないか。※※
※ 田中高「日本・キューバ貿易と対日政策」『国際政治:戦後日本外交とナショナリズム』(有斐閣,2012.10)
※※ 逆に、IAEAの要求する無差別の査察を受け入れた場合、どうなるんだろうね。イランの濃縮は医療用であるという説明は苦しいが、核爆弾そのもの以前の段階であった場合には、それ以上にイランを責めきれるものでもないような気がする。なんせ、隣のパキスタン、インド、近所のイスラエルの例もあるわけだ。
イランも、なにかあった時のために、なにかを作るための、なにかの材料だけを手許に置いとこう程度で我慢すれば、それで済んでしまうのではないかね。
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Comment
No title
22:17
岩見浩造
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編集
革命で日本が打撃を蒙ったのが70年代に熱心にやっていた石油化学プラントですね。
核技術に転用可能なものを抜くとどれ程のことが出来るかは疑問ですが、
高効率火力発電を売って表向きの原発開発の大義を薄れされる手はありかも知れません。
あちらの産業インフラは30年以上更新が滞っているので公害も酷いです。
民心を買うなら乗用車やバスでも良いでしょう。
ぐずぐずしてる間に、中国辺りに先行されるのも困りますね。