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- » 2024 . 01
Category : 有職故実
コミケ作業では、入れ替えるのが面倒なので、BDは『Das Boot』を掛けっぱなしなのだがね。それ見ていて思い出したのが、シリーズ続編にあたる『S-Boot』。まず不運だった番組の話。
S-Bootとは、Schnellboot、高速魚雷艇のことで、ドイツで放送されたTVシリーズなのだが、まず不発に終わった。実際にDas bootの二匹目のドジョウだから仕方がないのだけどね。300隻近く作られて、6割以上の150隻が沈み、2000人以上が犠牲になった背景を元にした、やはり厳しくて暗い話の二番煎じは、視聴者に好まれなかったのだろうね。
日本版公開のときにも映画ではないのでキネ旬に無視されている。BD・DVDはなくて、あるのはVHSだけなので、ネタバレもないものなのだけれども。簡単にいえば終戦間際に出撃したSボートが、航空攻撃でコンパスとエンジンも破壊され、一人生き残った学徒兵艇長が漂流状態に陥る話だよ。
滲みっぽいけど、そこに笑いを入るところは結構好きだった。終戦間際だけあって、風俗も退嬰的になっている風情なのだが、そこに楽しみとか、笑いが一切なかったわけではないとする、監督の主張でもあるのだろう。
独本土との連絡が途絶えた仏港湾都市。主人公は、出撃前に非合法の女郎屋(花屋)に行くところから始まるのだが。普段は貧相な坊やとバカにされ、愛想一つないフランス美少女な花屋の看板娘が、やたらと優しい。ついにお相手かと、いうがままに、お金に加えて、リクエストに応じて腕時計まで差し出してルンルンで部屋にはいると、出てくるのは脂肪の塊と呼ばれていた、肥えたオバちゃんで騙されたという、切ないような、切なくないようなギャグ。
出撃直前もよかった。艇長が埠頭でぼんやりしていると、突然ドイツ軍属のお姐チャンに拳銃を奪われる。もう耐えられない、死んだほうがマシだと自殺を図ろうとするのだが、引き金引いても発砲しない。主人公が、これ、ひい爺ちゃんが普仏戦争で使ったピストルだからねえと、何の気なしに引き金を引くと、見事撃発、お姐チャンの足許に当たる。お姐チャンは「人殺し、私を殺す気」と叫んで掴みかかるけど、しばらくして二人で笑うところとかね。
オチまで言ってしまうか。被弾後、一人だけ生き残り、漂流で精神状態がオカシクなっていく艇長。絶望で拳銃を手にした刹那に、目の前に潜水艦が浮上する。方向よし、距離よしで、魚雷の発射梃を押そうとすると、潜水艦は味方のドイツUボートで、艇長は安心して腰が抜ける。戦争は終わった、降伏するといわれ、曳航索で引っ張られるのだが、シーンが変わるときには、いつの間にか索が切れている。
戦後、華やかな海水浴場の沖に、幽霊船となったSボートが浮いており、白骨となった艇長の眼窩の向こうに、ヌーディストビーチで若い娘がはしゃいでいる…と、根も葉もない「S-BOOT」なんて嘘のドラマ話を考えついたのでアップしてみたよ。見たい人は、岡本喜八の『肉弾』を見ればだいたい同じ内容だと思います。
S-Bootとは、Schnellboot、高速魚雷艇のことで、ドイツで放送されたTVシリーズなのだが、まず不発に終わった。実際にDas bootの二匹目のドジョウだから仕方がないのだけどね。300隻近く作られて、6割以上の150隻が沈み、2000人以上が犠牲になった背景を元にした、やはり厳しくて暗い話の二番煎じは、視聴者に好まれなかったのだろうね。
日本版公開のときにも映画ではないのでキネ旬に無視されている。BD・DVDはなくて、あるのはVHSだけなので、ネタバレもないものなのだけれども。簡単にいえば終戦間際に出撃したSボートが、航空攻撃でコンパスとエンジンも破壊され、一人生き残った学徒兵艇長が漂流状態に陥る話だよ。
滲みっぽいけど、そこに笑いを入るところは結構好きだった。終戦間際だけあって、風俗も退嬰的になっている風情なのだが、そこに楽しみとか、笑いが一切なかったわけではないとする、監督の主張でもあるのだろう。
独本土との連絡が途絶えた仏港湾都市。主人公は、出撃前に非合法の女郎屋(花屋)に行くところから始まるのだが。普段は貧相な坊やとバカにされ、愛想一つないフランス美少女な花屋の看板娘が、やたらと優しい。ついにお相手かと、いうがままに、お金に加えて、リクエストに応じて腕時計まで差し出してルンルンで部屋にはいると、出てくるのは脂肪の塊と呼ばれていた、肥えたオバちゃんで騙されたという、切ないような、切なくないようなギャグ。
出撃直前もよかった。艇長が埠頭でぼんやりしていると、突然ドイツ軍属のお姐チャンに拳銃を奪われる。もう耐えられない、死んだほうがマシだと自殺を図ろうとするのだが、引き金引いても発砲しない。主人公が、これ、ひい爺ちゃんが普仏戦争で使ったピストルだからねえと、何の気なしに引き金を引くと、見事撃発、お姐チャンの足許に当たる。お姐チャンは「人殺し、私を殺す気」と叫んで掴みかかるけど、しばらくして二人で笑うところとかね。
オチまで言ってしまうか。被弾後、一人だけ生き残り、漂流で精神状態がオカシクなっていく艇長。絶望で拳銃を手にした刹那に、目の前に潜水艦が浮上する。方向よし、距離よしで、魚雷の発射梃を押そうとすると、潜水艦は味方のドイツUボートで、艇長は安心して腰が抜ける。戦争は終わった、降伏するといわれ、曳航索で引っ張られるのだが、シーンが変わるときには、いつの間にか索が切れている。
戦後、華やかな海水浴場の沖に、幽霊船となったSボートが浮いており、白骨となった艇長の眼窩の向こうに、ヌーディストビーチで若い娘がはしゃいでいる…と、根も葉もない「S-BOOT」なんて嘘のドラマ話を考えついたのでアップしてみたよ。見たい人は、岡本喜八の『肉弾』を見ればだいたい同じ内容だと思います。
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