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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2013.08
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Category : 映画
 国立国会で『Kihachiフォービートのアルチザン : 岡本喜八全作品集』を眺めて気づいたこと。
 この本、喜八のそれぞれの映画について、当時の映画評がついている。まあ毀誉褒貶は当然あるのだけれども、産経の評が抜きん出て的外れに見える。

 その産経映画評について、当日の産経新聞(1965.9.16 夕刊4面)『スクリーン』欄を複写してきたよ。

 まず、話の取っ掛かりからしてアレ。

「主人公はバカな上官をぶんなぐって前線に追われた武勲の曹長である。彼は皮肉にも自分が戦線に追い出した十数名の少年軍楽兵と行動」(産経)
→ これは逆の話。保護したかった「少年兵を前線に出す」という話で小杉曹長(三船敏郎)は上官を殴打して、少年兵の後を追っている。

「よりによって転属先が銃殺される弟の部隊という偶然さも不自然」(産経)
→ これは理屈。そもそも映画の筋に、現実社会での不自然って言ってもしょうがない。また、映画の中では、この点でリアリティに不自然を感じることもない。無理に批判してもしょうがない。

「見習士官は部下の八路軍逃亡を何故か報告せず…本人の気持ちも不可解」(産経)
も、劇中で逃亡した部下を庇ったためと説明されている

「少年兵全員に女の味を教えた慰安婦に、曹長が自分の金鵄(きんし)勲章を与えるところなどふざけた皮肉味もある。」(産経)
→ このシーンを「皮肉」ととらえるのは難しいのではないか。だって、いつも一緒だった女に生前の形見分けをしている、ちょっといい話でしょう。多分、産経的には「金鵄勲章なんて重要なものを慰安婦に渡すのか、ありえん」という怒りなのではないかね。だけれども、小杉曹長というキャラクターからすれば、金鵄勲章を、慰安婦のお春さんに渡すしかない。
    
「部隊が決死隊に終戦をしらせず置き去りにするデタラメさ』(産経)
→ ヤキバ攻略隊とは通信途絶の状況だから仕方ないのではないかね。それに、佐久間大尉は「非合理的だけれども、俺が」って感じで伝えに行っている。まずは事実誤認でしょう。

 でね、一番気になったのが、産経の映画評のこの部分。

「喜劇、悲劇、風刺劇、冒険活劇、反戦劇…なんともつかない。背景とオープンセットに感心するだけ」(産経)
→ これだと、カテゴリーに合致した劇がいい劇だとでもいいたいと主張していることにならないのかねえ

 そもそも、最初に
「三船に俳優としての偉大さを発揮させるのは黒澤明(監督)以外にありえない」(産経)
という結論ありきだからね。黒澤と言っておけば映画評としては安パイみたいな、単に権威があるものに乗っかっているだけだろうという感じがプンプンするのですよ。

 ほかの映画評、朝日読売毎日やキネ旬なんかの評にも、『血と砂』への批判はあるよ。タイピシャルな「戦争賛美」とか「冒険劇のように」なんて評もある。でもキチンと批評点は示している。また、産経以外は映画としての『血と砂』が面白いことは肯定している。

 対して産経新聞の評は、自分たちの軍隊に対する思い入れ「尊敬すべき日本軍隊」と違うものに拒否反応を示しているだけにしか見えない。日本軍隊の名誉を守るために批判点を探しているようにしか見えないわけです。

 かねがね、甘い新聞とは思っていたけれども、50年前からそうだったわけだ。まあ、「自分の職場に好意的だから産経新聞をとろう」なんて職業人のお里も知れているけどね。
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