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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

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2013.08
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Category : 有職故実
 日本は植民地や占領地に神社を作っている。有名なところでは、台湾神社がある。明治33年創建の官幣大社となっている。

 外地に作った神社については、内務省神祇院考証官だった鳥羽正雄さんの「神社局の思い出」※ によると、次のとおりである。
 明33年 台湾神社
 明43年 樺太神社
 大 8年 朝鮮神社
 昭11年 京城神社
 昭12年 大邱神社
 昭12年 平壤神社
 昭13年 関東神社(旅順)
 昭14年 扶余神宮
が挙げられている。また、占領地にも神社を作っており、鳥羽さんの記事を引くと
 昭14年 蒙疆神社
 昭14年 南京神社
 昭15年 北京神社
が示されている。

 他にも、香港神社もあったらしい。昭和17年の朝日新聞に「香港神社に大矛奉納」※ という題名の記事があった。これは、香港神社の地鎮祭に、伝平国矛を模した長サ5尺の矛を納めたというものである。

 いずれにせよ、日本人が日本精神の昂揚、敬神崇祖を唱えて創建した神社である。だが、そんなことをやれば、現地住民の反発もわかりそうなものだ。地元民から見れば、結局は土地支配の象徴にすぎないし、宗旨が異なる、しかも侵略者の宗教施設に跪拝することを強制されたのでは、反日感情が高めるだけの結果に終わっている。

 現地住民だけではなく、神様も反発したという話がある。飯沼一省さんの「戦時中の神社行政」※※※ では、天照大神が嫌だといった話が紹介されている。戦争中、台湾神社と朝鮮神社に天照大神を合祀して台湾神宮、朝鮮神宮にするという話があった。合祀のために勅使と御神体が現地に向かった。だが、台湾神宮は、その日に航空機墜落で焼失した。朝鮮に向かった飛行機は、対馬海峡を渡る寸前に悪天候に遭って、福岡で宿泊する羽目になったという。飯沼さんは「天照大神がいやだとおっしゃったのでしょう」と〆ているが、そのとおりだろう。その土地の住民が、信仰する宗旨をまげて押し付けるものでもないと諭したものだろう。



※   鳥羽正雄「神社局の思い出」『内務省外史』(地方財務協会,1977)pp.77-81.
※※  「香港神社に大矛奉納」『朝日新聞』(朝日新聞、1942.12.17)p.3
※※※ 飯沼一省「戦時中の神社行政」『続内務省外史』(地方財務協会,1987.11)pp.187-188.
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