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- » 2024 . 01
Category : ミリタリー
北朝鮮との戦いがあるだろうと言って、だからいわゆる「反日」をやめろと言っても、韓国人を怒らせるだけではないか?
日本戦略研究フォーラムに樋口譲次さんの「韓国防衛は、日本なしには成り立たない -それでも反日政策を続けるのか?」が掲載されている。
樋口さんは、韓国の対日姿勢が厳しいことを問題視している。いわゆる反日では北朝鮮との戦争で大変と述べている。「韓国の安全保障或いは防衛上、日本の協力が不可欠」とする前提で、反日は損であるとしている。
しかし、韓国の防衛で日本の協力は不可欠ではない。
朝鮮戦争や70年代までと比較して韓国は、相当に強くなった。政治的にも安定し、軍事力も充実し、経済力も発展した。対して、北朝鮮は政治的に不安定になり、軍事的には旧式化し、経済的には衰退している。この状況で、日本の協力はあるに越したことはないが、不可欠ではない。
韓国は、政治的に安定している。今の韓国は、面白い部分はあるものの、民主主義政体である。李承晩体制のように、アメリカの傀儡に操縦されるバナナ共和国でもなく、傀儡が転じた独善的な独裁者による統治体制ではない。国内で反対者に果断な刑罰を振るう軍事政権でもない。北朝鮮が侵攻してきても、韓国政治体制は動揺しない。韓国国民には一致団結して戦う体制が確保されている。
また、軍事力も充実している。朝鮮戦争当時とは違い、韓国には教育された職業軍人と、彼らに訓練された膨大な国民兵がいる。装備もほぼ最新装備であり、強力な航空戦力まで揃えている。しかも、米国のバックアップもある。
経済的にも相当に進歩した。経済面について、樋口さんは古い見方をしている。70-80年代の、アメリカが咳をすると日本が風邪を引く、日本が風邪を引けば韓国は肺炎になるといった認識にある。しかし、90年代以降、韓国は経済での対日従属から離れている。既に韓国は日本の下請けではない。自前で北米や欧州、中国と貿易し、その規模を拡大している。もちろん、日本との貿易や投資は、韓国経済で大きな地位を占めているが、日本の協力がなくとも、北の侵攻には十分対抗し、その後には北進もできる経済力は持っている。
逆に、北朝鮮の著しい体力低下を注目すべきである。
北朝鮮の政治体制は戦争に対して脆弱である。国民支持のあやしい権威体制であり、軍隊や警察機構による締付で維持されている。戦争により、その締付が弱まれば、政治体制も弱まる。戦場で大敗北を喫すれば、現体制も相当に揺らぐことになる。
北朝鮮の軍事力も相当に低下している。ミサイルといったものを除き、主要装備は80年代水準のままであり、韓国軍を打倒する力はない。ソウルに嫌がらせ的な攻撃を掛けるのが手一杯である。
北朝鮮の経済は、そもそも対韓国侵攻を許さない。食糧事情や液体燃料、輸送能力もカツカツであって、対韓戦は可能な状態ではない。
この状況で、北との対立があるからと、韓国がいわゆる「反日」を引っ込める必要はない。もちろん、韓国政府や首脳は、日本と仲良くしなければ損が多いことは承知している。しかし、歴史的経緯から、国民感情が反日である。政府や首脳は、国民感情を無視した政策を取れない。民主主義なら尚更である。
植民地支配された側は、支配した側を許すことはない。日本人は昔のことは水で流せ、70年も前の事で「恨」を持ち出すなという。だが、韓国でも中国でも「恨」というのは、元々「100年たっても200年たっても消えないほどの怨み」意味である。そして、国民国家としての韓国建国神話にもいわゆる「反日」含まれている。今の韓国は「日本に抵抗し、勝利して生まれた国家」であり、日本に好き勝手されないことが存在理由なので、対日感情が悪いのも当たり前の話である。
韓国は本質的には、北朝鮮への警戒や憎しみよりも、日本への警戒や憎しみの方が強い。北朝鮮は同じ国の一領域に過ぎない。同じ民族が住んでいるどころか、親類縁者も居る。いずれは一緒になる仲間と考えている。対して、日本は半島を征服した悪の国家であり、不倶戴天の敵である。
韓国は対北戦では日本の協力は必ずしも必要ではなく、本質的には北朝鮮よりも日本のほうが憎い。その国に対して「韓国防衛には日本の手助けが必要だろう、だから俺たちを赦せ」といってもせんない話である。前者で「後進国だと思って馬鹿にするな」と反発を受け、後者で「何様のつもりか」と怒るだろう。
いずれにせよ、樋口さんの主張が成立するのは、韓国が脆弱であった70年代までの話である。確かに60年代の軍事政権では、北朝鮮の脅威から、国民感情に逆らっても「反日」を力で封じ日本との国交を樹立した。70年代80年代でも、経済的な離陸のため、満足に食べるため「反日」はやめろと説得して日本の投資を受け入れた。しかし、今の韓国にはそれほどの切実な必要性はない。そのような主張をしても、韓国国民を怒らせるだけの結果に終わるだろう。
※ 樋口譲次「韓国防衛は、日本なしには成り立たない -それでも反日政策を続けるのか?」『日本戦略研究フォーラム』(2013.7)http://www.jfss.gr.jp/kiho%20ok/kiho57/6%20page.htm
※※ 実際にできることは、国民や資本の安全確保や、貿易や投資、交流での理不尽な障害排除といった実務的利益を順々に確保し、堅固にするような働きかけではないか。韓国政府や指導層にも過激な「反日」は良くないと考えている層は居る。
日本戦略研究フォーラムに樋口譲次さんの「韓国防衛は、日本なしには成り立たない -それでも反日政策を続けるのか?」が掲載されている。
樋口さんは、韓国の対日姿勢が厳しいことを問題視している。いわゆる反日では北朝鮮との戦争で大変と述べている。「韓国の安全保障或いは防衛上、日本の協力が不可欠」とする前提で、反日は損であるとしている。
しかし、韓国の防衛で日本の協力は不可欠ではない。
朝鮮戦争や70年代までと比較して韓国は、相当に強くなった。政治的にも安定し、軍事力も充実し、経済力も発展した。対して、北朝鮮は政治的に不安定になり、軍事的には旧式化し、経済的には衰退している。この状況で、日本の協力はあるに越したことはないが、不可欠ではない。
韓国は、政治的に安定している。今の韓国は、面白い部分はあるものの、民主主義政体である。李承晩体制のように、アメリカの傀儡に操縦されるバナナ共和国でもなく、傀儡が転じた独善的な独裁者による統治体制ではない。国内で反対者に果断な刑罰を振るう軍事政権でもない。北朝鮮が侵攻してきても、韓国政治体制は動揺しない。韓国国民には一致団結して戦う体制が確保されている。
また、軍事力も充実している。朝鮮戦争当時とは違い、韓国には教育された職業軍人と、彼らに訓練された膨大な国民兵がいる。装備もほぼ最新装備であり、強力な航空戦力まで揃えている。しかも、米国のバックアップもある。
経済的にも相当に進歩した。経済面について、樋口さんは古い見方をしている。70-80年代の、アメリカが咳をすると日本が風邪を引く、日本が風邪を引けば韓国は肺炎になるといった認識にある。しかし、90年代以降、韓国は経済での対日従属から離れている。既に韓国は日本の下請けではない。自前で北米や欧州、中国と貿易し、その規模を拡大している。もちろん、日本との貿易や投資は、韓国経済で大きな地位を占めているが、日本の協力がなくとも、北の侵攻には十分対抗し、その後には北進もできる経済力は持っている。
逆に、北朝鮮の著しい体力低下を注目すべきである。
北朝鮮の政治体制は戦争に対して脆弱である。国民支持のあやしい権威体制であり、軍隊や警察機構による締付で維持されている。戦争により、その締付が弱まれば、政治体制も弱まる。戦場で大敗北を喫すれば、現体制も相当に揺らぐことになる。
北朝鮮の軍事力も相当に低下している。ミサイルといったものを除き、主要装備は80年代水準のままであり、韓国軍を打倒する力はない。ソウルに嫌がらせ的な攻撃を掛けるのが手一杯である。
北朝鮮の経済は、そもそも対韓国侵攻を許さない。食糧事情や液体燃料、輸送能力もカツカツであって、対韓戦は可能な状態ではない。
この状況で、北との対立があるからと、韓国がいわゆる「反日」を引っ込める必要はない。もちろん、韓国政府や首脳は、日本と仲良くしなければ損が多いことは承知している。しかし、歴史的経緯から、国民感情が反日である。政府や首脳は、国民感情を無視した政策を取れない。民主主義なら尚更である。
植民地支配された側は、支配した側を許すことはない。日本人は昔のことは水で流せ、70年も前の事で「恨」を持ち出すなという。だが、韓国でも中国でも「恨」というのは、元々「100年たっても200年たっても消えないほどの怨み」意味である。そして、国民国家としての韓国建国神話にもいわゆる「反日」含まれている。今の韓国は「日本に抵抗し、勝利して生まれた国家」であり、日本に好き勝手されないことが存在理由なので、対日感情が悪いのも当たり前の話である。
韓国は本質的には、北朝鮮への警戒や憎しみよりも、日本への警戒や憎しみの方が強い。北朝鮮は同じ国の一領域に過ぎない。同じ民族が住んでいるどころか、親類縁者も居る。いずれは一緒になる仲間と考えている。対して、日本は半島を征服した悪の国家であり、不倶戴天の敵である。
韓国は対北戦では日本の協力は必ずしも必要ではなく、本質的には北朝鮮よりも日本のほうが憎い。その国に対して「韓国防衛には日本の手助けが必要だろう、だから俺たちを赦せ」といってもせんない話である。前者で「後進国だと思って馬鹿にするな」と反発を受け、後者で「何様のつもりか」と怒るだろう。
いずれにせよ、樋口さんの主張が成立するのは、韓国が脆弱であった70年代までの話である。確かに60年代の軍事政権では、北朝鮮の脅威から、国民感情に逆らっても「反日」を力で封じ日本との国交を樹立した。70年代80年代でも、経済的な離陸のため、満足に食べるため「反日」はやめろと説得して日本の投資を受け入れた。しかし、今の韓国にはそれほどの切実な必要性はない。そのような主張をしても、韓国国民を怒らせるだけの結果に終わるだろう。
※ 樋口譲次「韓国防衛は、日本なしには成り立たない -それでも反日政策を続けるのか?」『日本戦略研究フォーラム』(2013.7)http://www.jfss.gr.jp/kiho%20ok/kiho57/6%20page.htm
※※ 実際にできることは、国民や資本の安全確保や、貿易や投資、交流での理不尽な障害排除といった実務的利益を順々に確保し、堅固にするような働きかけではないか。韓国政府や指導層にも過激な「反日」は良くないと考えている層は居る。
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Comment
No title
21:52
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あと著者肩書きの日本製鋼所顧問ってのが気になります。
反日とは言いますが
07:33
おひさま
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編集
例えば、日本なら北朝鮮に対しては政権を認めない、送金を認めない、アメリカならシリアへの軍事介入を検討するなど、こういう措置のことですよ。
誰が反日政策という言葉を使い始めたかは知りませんが、歴史認識程度で反◯◯と言って大騒ぎしてるあたりが、マスコミのネタなんだろうなと。