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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

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2013.10
12
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12:00
Category : ミリタリー
 仮に対日戦で中国が全力で航空戦をやるとした場合、中国側の勝ち目は薄いのではないか。アラアラの計算ではあるが、開戦初日で実質パリティ、4日目でソーティ数で並び、8日目以降は日中戦力は逆転する。

 日中の航空戦力は、質で超越する空自と、数で超越する解放軍空軍といった態勢にある。

 空自側は質で優れる。戦闘機や兵装での性能、パイロットの技量や、整備能力、AWACSや空中給油機といった優位がある。対中戦での防空を考慮すると、洋上救難体制や、JADGEや陸海空対空ミサイルによる支援も優位にある。ただし、中国に対しては数で劣る。F-15は200、F-2(F-16改良型)は100と、約半分である。

 中国空軍は、数で優れる。概ねF-15に対抗できると見られているSu-27系をざっと400、F-16系に対抗できると考えられているJ-10を250保有している。ただし、質的には日本に劣る。Su-27系統はF-15に勝るものではなく、J-10はF-16に優位に立つ機体ではない。中国空軍パイロットの飛行時間は相当短いといわれている。整備能力は特に高いという話はない。実用AWACSは持たず、空中給油機も少ない。また、対日戦での攻勢的航空戦を考慮すると、J-10は航続距離の限界に近く、余裕ある戦闘ができない。日本側とは違い、航空救難や防空システム、対空ミサイルによる支援は期待できない。

 一概にどちらが優れているというわけでもない。仮に、日本が中国本土に空襲を掛けても、巧くはいかないだろう。Su-27やJ-10といった新鋭機だけでなく、J-7以降の旧式機も立ち向かってくるし、地対空ミサイルによる攻撃も考慮しなければならない。

 ただし、日本での防空戦であれば、日本側が有利な態勢を確保できる。日中両空軍が日本周辺で戦闘するなら、日本側が優位は確実である。使用できる基地数や、そこから戦場までの距離、JADGE、SAM、空中給油、航空救難その他の支援で、日本側は優位にある。中国側としては、航空撃滅戦で戦闘機を地上撃破したいだろうが、日本側の航空基地や、転用可能な民間空港の数から、それらを覆滅するのは難しい。仮に、琉球列島や九州にある航空基地を叩いても、足の長い日本側航空機が本州ほかから防空戦参加を阻止できない。本州西部にある基地や、本州、四国や大東諸島の空港を転用した特設航空基地から、悠々と防空戦に参加する。

 対日航空戦では、中国空軍は早期に戦力を損耗し、日本への航空戦が不可能になるのではないか。中国空軍は多数の作戦機を持っているが、態勢上の不利から日本周辺での消耗戦では分が悪い。仮に、日中の損耗比を1:3、日本機が1撃破される間に、中国機が3撃破される。航空戦1日あたり日本の損耗が5%、中国15%とすると、8日目で日中戦闘機数は209:208と同数となってしまう。

 航空戦での数的優位も、中国側はなかなかとれない。中国側が数的優位が取れるのは、開戦第一撃だけである。

 機体回転率を加味すると、航空戦では日本側が有利になる。日本側は防空戦で進出距離が短く、非常着陸も容易で疲労も少なく整備等後方支援に優れる。中国側はそれがない。日本側が1日3ソーティ、中国側が1日2ソーティとすると、初日の段階で中国はそれほど優位を取れない。中国が優位を取れるのは650機を集中運用できる第一撃だけになる。

 ソーティ数でみれば、日本側は開戦第一日でもパリティを確保できる。機体の稼働率を無視した計算だが、日本は初日900ソーティを出せるが、中国は1300ソーティに留まる。空中での戦力比は1:1.4であるが、中国側の圧倒的優位ではない。日本側はJADGEにより優位な対勢を作れるし、SAMによる支援も得られる。中国側は基地攻撃やレーダサイト攻撃にも戦力を吸引される不利がある。日本側防空任務と中国側制空任務の機体数は、1:1に近いものになるだろう。

 そして、4日目になると、日中の在空戦力比率は完全にパリティになる。日本側残存機257、771ソーティに対して、中国側残存機399、798ソーティと、ほぼ1:1になってしまう。これでは質的に優位にない中国側は、レーダサイトや航空基地を初め、軍港や交通結節点への対地攻撃の余裕は全くなくなる。対日航空戦をやる意味は相当に失われる。

 8日目、日本側209機、627ソーティに対して、中国側208機、416ソーティと、日中比は1:0.66となる。航空機性能や、JADGEほか支援、稼働率を考慮すると、中国側には勝ち目がない。そもそも、ここまで消耗する前に中国側は対米戦や、日本側空襲、それ以外との戦闘に供えて戦力温存を図るだろう。

日中航空戦

 これに機体稼働率を加味すると、中国側はさらに悲惨になる。日本側稼働率を0.8、中国側を甘めに見て0.7とすると、一日早い3日目にソーティ数が648対656とパリティになる。東側航空機の耐久性や、その運用、整備思想から、稼働率が維持できるのは、実際は3日が限度となる。3日目以降の稼働率が、日本側0.7、中国側0.5に低下すると、8日目のソーティ数での戦力比率は450:200になってしまう。

 また、日本側には、航空戦に使える予備戦力がある。50機のF-4も、防空任務に随時投入可能である。在日米軍の米空軍90機、海兵隊40機も、防空ほか航空撃滅戦や含む航空戦に投入可能である。空母に搭載される米海軍戦闘機約50機も、防空にもその他航空作戦にも参加できる。他にも、米国からの戦時増援は、少なくとも空軍戦闘機で50-100、空母1-2隻はある。

 これらから、中国には全面対日戦は相当に困難である。仮に日中の損耗比や一日の損耗率、ソーティ数や稼働率が多少変動しても、中国空軍には対日航空戦での勝ち目はない。中国は対日戦で制空権を、言い方を変えれば絶対的航空優勢をとることはできない。※ それからすれば、中国軍による日本本土侵攻は初手で躓くということだ。中国脅威論で、日本本土防衛を云々してもこんなものである。

 日本軍事力は強力であり、周辺国による本土上陸は無理な相談だということだ。本土防衛にしか使えない戦力を更に積み増しても無駄な話である。日本の安全保障上の問題はグローバル化している。陸自の戦車みたいな本土防衛にしか使えない戦力を作るよりも、その資源を外洋やその向こうで使える戦力に投入したほうが良い。



※ 尖閣諸島や先島諸島でも中国は制空権を打ち立てられない。仮に尖閣諸島での航空優勢が中国ベースになっても、日本側は任意の時期に航空戦力を集中運用することにより、航空優勢を奪うことができる。一時的な航空優勢で上陸戦なんかできやしないが、通り魔的な攻撃で上陸戦を頓挫させることはできる。
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No title

個人的には、戦争になったときに中国のサイバー戦部隊がサイバーテロを引き起こすことのほうが、気になるというか。通常戦力の質に劣る中国側が日本に対してかなり有効な攻撃手段として多用してきそうですけど、そういった対策はちゃんと練っているでしょうかねぇ。

国産戦車マニアの人たちは、戦車がなければ日本は防衛出来ない、海と空だけでは敵の上陸を防げないと念仏のように唱えてるんですねぇ。
本土で戦車の活躍が見たくてたまらないんでしょう。

時がこのまま止まってくれれば良いですね^^;