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- » 2023 . 02
Category : 有職故実
進水式を終えた新造潜水艦の「こくりゅう」も、結局は残念な名前ではないだろうか。
「ホニャララ龍」とする艦名は、あまり良い艦名ではない。もともと旧海軍でも、空母も潜水艦といった補助艦艇向けの艦名であり、選り抜きの名前ではない。結局は漢語から作られた重要ではない艦名である。
どこの海軍でもそうだが、重要艦の名前と、それ以外の艦名には落差がある。日本海軍でもそれは同じで、正面切って戦う戦闘艦には立派な名前、補助的な役割に留まる艦艇にはそれなりの名前と、名前の力の入れ方に差をつけていた。そして、かつての空母、いまの潜水艦でつかう「ホニャララ龍」とする艦名は、その後者の素晴らしくはない名前にあたる。
■ 戦闘艦艇には優雅な名前が与えられた
日本海軍では、正面切って戦う戦闘艦には、やまとことばから優雅で由緒ある名前を選んで艦名として与えていた。
戦闘に従事する軍艦につける山河の名称は、良い名前を選り抜いて与えられている。和歌の題材となるような景勝地や、伝統的価値観に合致した良い地名が取られている。日清戦争の三景艦や、比叡、吉野、高千穂、日露戦争での敷島、朝日、初瀬、三笠、浅間、常磐はその例である。
軍艦ではないが、勇敢に戦う駆逐艦でも、やまとことば系の優雅な名前が与えられた。おそらく、駆逐艦の名前には、源氏物語から取る頭もあっただろう。夕霧、薄雲、野分、早蕨といったあたりは、源氏物語から艦名を拝借している。そして、そこから逆算して合致する基準を考えたものだろう。※
■ 非戦闘艦艇には、それなりの名前
対して、空母や潜水艦といった二線的な補助艦艇には、あまり由緒のない名前が与えられている。
航空母艦、潜水母艦、駆逐母艦の類は、馴染みのない漢語が転用された。飛龍、蒼龍、瑞鶴、翔鶴と、大鯨、迅鯨、長鯨の起源は、そのようなものだ。雅風のない抽象的な名称となっているのは、戦闘で主役となることが期待されていなかったことの名残である。
潜水艦にいたっては、十把一絡げに番号が与えられただけで終わっている。イ-168は艦名に168である理由はない。167や169との差もない。その程度の存在にされている。
■ 飛蒼翔瑞は、活躍したからカッコ良く聞こえただけ
しかし、そのパッとしない艦名が前の戦争では活躍した。太平洋戦争では空母が活躍した。飛龍、蒼龍、瑞鶴、翔鶴…といった、空母は大活躍した。その結果、逆にそれぞれの大活躍により、本来は文字が浮かばないとイメージすら湧かない言葉を与えられた艦名に好印象が与えられたのである。
当今の例で言えば、気の毒にDQNネームをつけられた子が、ノーベル賞のたぐいをとってMVPとなったようなものだ。結果として、そのDQNネームは良い名前であると認識されるようになった。
そして、今日には、潜水艦の地位が大きく成長した。このため、潜水艦にはより価値のある名前を与える必要が生まれた。その結果、今日の日本潜水艦には、太平洋戦争でのMVP、空母艦名の命名法を流用することとなった。「そうりゅう」級は、その走りである。※※
ただし「ホニャララ龍」といった言葉は、やまとことばではなく、書かないと分からない漢語である。雅風な言葉でもない。すでにカッコ良い龍の名前も尽きている。大戦中に活躍したのは、ネームシップの蒼龍と、おそらく次クラスのために取ってある飛龍で終わっている。空母艦名の記憶から名前としてもシックリ来るのは、2番艦の雲龍で終わりで、あとはロクな名前ではない。※※
ホニャララ龍に窮してつけられた、はくりゅう、けんりゅう、ずいりゅう以下は、何事かという名前である。どういう意味かも浮かびにくい、珍奇な名称にとどまっている。今回の「こくりゅう」もその伝である。このあたりの名前は、一種DQNネームであるので、早々に取りやめて、やまとことばか、戦争中の殊勲艦艦名に限定したほうがよい。
※ 仮に戦前・戦時中に護衛駆逐艦の名前、源氏物語から鈴虫、蜻蛉(かげろうは、本来はこっちか)、蛍、空蝉あたりがいいよね、雅だしと決める。その後で「じゃあ、護衛駆逐艦は艦名を虫ケラにしよう」とするようなものだ。命名基準としては「護衛駆逐艦は節足動物・非脊椎動物の名前からとる」とするようなもの。
※※ これは米国とも同じである。米国も戦後しばらくは潜水艦に適当に魚の名前をつけていたが、潜水艦の価値向上とともに「魚の名前ではアガらない事この上ない」と命名規則を弄って、議会対策を兼ねてかつて主力艦に使った州名や、大統領の名前を使った。これは前に【潜水艦】魚は投票してくれない【名前】として書いている。
http://schmidametallborsig.blog130.fc2.com/blog-entry-53.html
※※※ 日本海軍が艦艇名に使ったホニャララ龍としては、「福龍」がある。ただし、清国からの捕獲水雷艇であり、名前も清国時代そのままであるので、使えたものではない。
「ホニャララ龍」とする艦名は、あまり良い艦名ではない。もともと旧海軍でも、空母も潜水艦といった補助艦艇向けの艦名であり、選り抜きの名前ではない。結局は漢語から作られた重要ではない艦名である。
どこの海軍でもそうだが、重要艦の名前と、それ以外の艦名には落差がある。日本海軍でもそれは同じで、正面切って戦う戦闘艦には立派な名前、補助的な役割に留まる艦艇にはそれなりの名前と、名前の力の入れ方に差をつけていた。そして、かつての空母、いまの潜水艦でつかう「ホニャララ龍」とする艦名は、その後者の素晴らしくはない名前にあたる。
■ 戦闘艦艇には優雅な名前が与えられた
日本海軍では、正面切って戦う戦闘艦には、やまとことばから優雅で由緒ある名前を選んで艦名として与えていた。
戦闘に従事する軍艦につける山河の名称は、良い名前を選り抜いて与えられている。和歌の題材となるような景勝地や、伝統的価値観に合致した良い地名が取られている。日清戦争の三景艦や、比叡、吉野、高千穂、日露戦争での敷島、朝日、初瀬、三笠、浅間、常磐はその例である。
軍艦ではないが、勇敢に戦う駆逐艦でも、やまとことば系の優雅な名前が与えられた。おそらく、駆逐艦の名前には、源氏物語から取る頭もあっただろう。夕霧、薄雲、野分、早蕨といったあたりは、源氏物語から艦名を拝借している。そして、そこから逆算して合致する基準を考えたものだろう。※
■ 非戦闘艦艇には、それなりの名前
対して、空母や潜水艦といった二線的な補助艦艇には、あまり由緒のない名前が与えられている。
航空母艦、潜水母艦、駆逐母艦の類は、馴染みのない漢語が転用された。飛龍、蒼龍、瑞鶴、翔鶴と、大鯨、迅鯨、長鯨の起源は、そのようなものだ。雅風のない抽象的な名称となっているのは、戦闘で主役となることが期待されていなかったことの名残である。
潜水艦にいたっては、十把一絡げに番号が与えられただけで終わっている。イ-168は艦名に168である理由はない。167や169との差もない。その程度の存在にされている。
■ 飛蒼翔瑞は、活躍したからカッコ良く聞こえただけ
しかし、そのパッとしない艦名が前の戦争では活躍した。太平洋戦争では空母が活躍した。飛龍、蒼龍、瑞鶴、翔鶴…といった、空母は大活躍した。その結果、逆にそれぞれの大活躍により、本来は文字が浮かばないとイメージすら湧かない言葉を与えられた艦名に好印象が与えられたのである。
当今の例で言えば、気の毒にDQNネームをつけられた子が、ノーベル賞のたぐいをとってMVPとなったようなものだ。結果として、そのDQNネームは良い名前であると認識されるようになった。
そして、今日には、潜水艦の地位が大きく成長した。このため、潜水艦にはより価値のある名前を与える必要が生まれた。その結果、今日の日本潜水艦には、太平洋戦争でのMVP、空母艦名の命名法を流用することとなった。「そうりゅう」級は、その走りである。※※
ただし「ホニャララ龍」といった言葉は、やまとことばではなく、書かないと分からない漢語である。雅風な言葉でもない。すでにカッコ良い龍の名前も尽きている。大戦中に活躍したのは、ネームシップの蒼龍と、おそらく次クラスのために取ってある飛龍で終わっている。空母艦名の記憶から名前としてもシックリ来るのは、2番艦の雲龍で終わりで、あとはロクな名前ではない。※※
ホニャララ龍に窮してつけられた、はくりゅう、けんりゅう、ずいりゅう以下は、何事かという名前である。どういう意味かも浮かびにくい、珍奇な名称にとどまっている。今回の「こくりゅう」もその伝である。このあたりの名前は、一種DQNネームであるので、早々に取りやめて、やまとことばか、戦争中の殊勲艦艦名に限定したほうがよい。
※ 仮に戦前・戦時中に護衛駆逐艦の名前、源氏物語から鈴虫、蜻蛉(かげろうは、本来はこっちか)、蛍、空蝉あたりがいいよね、雅だしと決める。その後で「じゃあ、護衛駆逐艦は艦名を虫ケラにしよう」とするようなものだ。命名基準としては「護衛駆逐艦は節足動物・非脊椎動物の名前からとる」とするようなもの。
※※ これは米国とも同じである。米国も戦後しばらくは潜水艦に適当に魚の名前をつけていたが、潜水艦の価値向上とともに「魚の名前ではアガらない事この上ない」と命名規則を弄って、議会対策を兼ねてかつて主力艦に使った州名や、大統領の名前を使った。これは前に【潜水艦】魚は投票してくれない【名前】として書いている。
http://schmidametallborsig.blog130.fc2.com/blog-entry-53.html
※※※ 日本海軍が艦艇名に使ったホニャララ龍としては、「福龍」がある。ただし、清国からの捕獲水雷艇であり、名前も清国時代そのままであるので、使えたものではない。
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Comment
13:37
しやもじ
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質問
16:20
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DQNネーム?
00:23
おひさま
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本気モードの名前なら抑止力重視。「大和」の存在を公表してれば、太平洋戦争は起きなかったかもというヤツですよ。
「こくりゅう」みたいに、右から左の名前なら、抑止力ではなく隠匿性重視という考えなんでしょうね。
どっちが妥当かはともかく、この名前はラーメン屋みたいでイケマセン。「あじしお、ごましお、のりしお」レベルです^^;
No title
00:52
岩見浩造
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「このシノギ、私が仕切らせていただきます」(真顔
これで戦果挙げた日には「はくりゅうlegend」
まぁ、地名と被りますがてんりゅうは残っていますね。しかし訓練支援艦に使われてしまっている。
「雲」「霧」「雪」「雨」「風」「波」系はどれもDD、まだ結構残ってると思いますが、
艦種間での混用は避けたかったのでしょうか。
蚊龍、屠龍は飛行機で実績あり。
以前仮想戦記用のネタとして他の空母で使えそうな修飾語を転用してはどうか
と思ったことがあったのですが、「ずいりゅう」はそういう発想ともとれますね。
その手でいくと、原理的には「大龍」「神龍」「海龍」「隼龍」「翔/祥龍」、
「鳳翔」のような前に置いても後ろに置いても良い漢字を加えると「鳳龍」、
色シリーズでいくと「青龍」「紅龍」「緑龍」等
後は伝説などから取ってきて「木龍」など。
http://shuken.sonnabakana.com/mioshie/ryujin.html
しかし、語呂として撥ねたいのも結構ありそうな。
No title
23:52
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