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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

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2013.12
06
CM:2
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12:00
Category : 海上運輸
 温暖化で北極海は簡単に使えるようになる、だからロシアの日本侵攻は容易になると主張する人がいたのだけれども。

 まあ、船舶の耐氷グレードとか気象の不安定とか航路上にある水深とかご存じないんだろうなと思っていたよ。極地の海を通すには普通の船舶は駄目で、耐氷グレードの高いやつを選ばなければいけない。低気圧の墓場で天候の影響は大きい。北極航路には水深も露骨に浅いところがある。そういった問題がある。

 その北極海航路について、商業利用もあんまりないよねという興味ふかい記事があった。会田浩之さんの「北極海航路の経済性と日本の期待」(『外交』2013.Nov)がそれ。

 いや、合田さんのファンなんだよ。輸送物流の専門家でらっしゃるんだが、飛行船とかああいうキワモノについて、コスト構造を論じるような面白い記事が多い。初めて経歴みたけど、博士課程2つも入退院していてタイトル2つもっているというあたりも、なかなかすごい(無駄な)ことするなあという素晴らしい人。

 合田さんは、北極航路の問題を次の通り列挙している
・ 4000-5000TEUが限界で、経済性に優れるわけではない
・ アジアから欧州向けの輸送量はそれほどない
  - 日本から運ぶものは数%に過ぎない
    ・ 日系自動車メーカーの対欧州輸送は、トルコ工場で作っている
  - 中国の半分を占める華南からは、安定輸送できる南回りが近い
  - タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナムは南回り以外にない
・ 可能性としてあるのは、納期や輸送品質を問われない生資源輸送だけ
  - 北欧鉱石の中国向け輸出
  - 日本向のLNG輸出
    ・ 可能性はヤマルLNGだが、日本が買うという話は聞いたこともない

 実際に、合田さんが示した輸送実績も、粗雑な輸送しかできないとする指摘を裏付けている。東アジア向け実績として、2012秋の九州電力へのLNG輸出、2013年の旭化成・三菱向けナフサ輸出、時期不明だが中国COSCOの欧州向け輸出も荷は鋼材であった。

 北極海航路は、通航が用意になったといっても、連絡線程度にすぎず、安定した基幹輸送には向いていないといったところだ。何時ついてもいいものを間欠的に運ぶにはいいが、それ以外を欧州・東アジアで運ぶなら、鉄道を使うシベリア・ランド・ブリッジ(ただし、東行は輸送量が詰まっていて高い)のほうがマシだろう。もちろん、南回り船便が一番安くて輸送品質も安定しているのだけれども。



※会田浩之「北極海航路の経済性と日本の期待」『外交』2013.Nov,(時事通信社,2013.11)pp.42-45
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Comment

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こないだの「ラプテフ海で未知の島を発見」を見たら北極海航路もまだまだなんだなあと思ったり。島すら未知のものが見つかるようじゃ水深もアテにならない( ・・)/

No title

経済的に見て商船の北極海航行が非現実的としても軍艦は別です。現に最近はロシア艦隊が北極海を航行する演習が増えてきています。

とは言っても、これは「不便だけど、その気になればできる」程度のことなので、別に新しい脅威と見る必要は無いでしょう。本気で日本を攻撃するなら、温暖化が進まずともロシアお得意の砕氷船を大量に投入すれば済む話ですから。

結局、「ロシアの脅威が拡大!!!」という結論が先にあって、温暖化による北極海航路云々はそのための後付の理屈でしょうね。