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- » 2023 . 07
Category : ミリタリー
『中国海軍の揚陸戦力』週刊オブィエクトの中国海軍の揚陸戦力は、台湾海峡を押し渡る戦力を指しているのでしょう。
JSF氏の挙げた戦力のうち、渡洋侵攻に回せるものは
Yuzhao × 1(LPD) 最大20kt
Yuting?×10(LST) 最大17kt
Yuting?×10(LST) 最大17kt
Yukan × 7(LST) 最大14kt ← 船団速力は10~12ktですね。
の正味28隻でしょう。
LSM以下については参加は難しいでしょう。荒天に弱いLSMは、外洋に出す場合には上陸船団の足かせになるからです。(参加できないわけではありませんけど)
この28隻の搭載能力についてですが、LST×27隻の搭載能力は間引かなければならないでしょう。LST満載時の搭載能力は、港湾から港湾への輸送に限られており、ビーチングの場合には搭載量は減少します。
米大戦型LSTの場合、ビーチング時の輸送量は最大搭載量の20%。韓国に引き渡されたアリゲータの場合、ビーチング時の輸送量は最大搭載量の30%です。
中国LSTのビーチング輸送能力を、高めに(一部のLSMが参加する可能性を含むとして)50%と見積もった場合、その輸送能力は1隻あたり戦車・装甲車×5、兵員100名程度でしょう(他にも物資や弾薬を積まなければいけません)。これに崑崙山の輸送能力(戦車・装甲車×20、兵員600名)を加えたものが中国軍の渡洋侵攻戦力となります。
中国軍の渡洋侵攻能力
戦車・装甲車 × 140両
兵員 × 3500名
といったところ。
戦車・装甲車の搭載量は、砲やトラック、対空ミサイルや工兵機材で食われてしまう。兵員も工兵や海岸作業部隊を含めなければならない。この点を考慮すると、3個大隊程度と見積もるのが妥当でしょう。(これが今回の新刊の見積)
JSF氏は例によって商船による上陸戦を指摘しています。今回は特にRORO船を提示しているようです。
しかし、RORO船が入れる岸壁は意外と限定されます。港内水深・岸壁水深とも-6m以上の港が必要です。上陸適地の近くにそのような港湾が都合よく存在するかどうか。存在したとしても、使用拒否(破壊)される可能性は高いでしょう。また風当面積が大きいので、港外作業はできません。ポンツーンの類を持ってきても、外海に面したような、波浪の打ち込む上陸泊地では何もできない。
話が抽象的であると分かりにくいかもしれません。ですから、仮に頭の体操としてそれを考えてみましょう。中国と日本が戦争になること考えがたいものです。さらに日本の強力な海空戦力や米軍との同盟を考慮すれば、中国が本土上陸を試みることはありえません。ですが、そういった条件を無視してみます。
中国の本土上陸を考えるのであれば、上陸適地は鹿児島西岸の吹上浜になるでしょう。この上陸戦において、早期利用が可能な港湾は串木港しかありません。ここを防備しておけば、港湾の奪取も、被使用もできません。
港湾使用拒否も簡単です。荷役設備の不要なRORO船といっても係船柱がなければ係留できないでしょう。全部切ってしまえば良い。他の種類の商船もあわせて使えないように、入港航路・-10m岸壁(全長185m)・-7・5m岸壁(船長260m)のそれぞれに2隻づつでも使用拒否用の沈船を用意し、あるいは邪魔になるように予め沈めておけば良い。日本は戦後にサルベージできるが、戦争中、中国がそれをするのは難しい。港外に浅海用の小型機雷を入れても良いでしょう。戦争が終われば掃討すればよい。それだけで商船と港を用いた上陸戦はできなくなる。商船に搭載した部隊は遊兵となります。
港湾を使わないで上陸することはできません。吹上浜は外海に面しており、上陸用の泊地の設定も難しい。波やうねりがそのまま入ってくる。特にノッペラボウで背の高いRORO船は風で振れ回ってしまう。自前の錨を前後にいれても、把駐力で負けてしまう。RORO船は港内でしか物資の卸下はできません。
結局、商船による上陸戦は不可能です。このような困難があったので、揚陸艦が誕生したわけなのです。
JSF氏の挙げた戦力のうち、渡洋侵攻に回せるものは
Yuzhao × 1(LPD) 最大20kt
Yuting?×10(LST) 最大17kt
Yuting?×10(LST) 最大17kt
Yukan × 7(LST) 最大14kt ← 船団速力は10~12ktですね。
の正味28隻でしょう。
LSM以下については参加は難しいでしょう。荒天に弱いLSMは、外洋に出す場合には上陸船団の足かせになるからです。(参加できないわけではありませんけど)
この28隻の搭載能力についてですが、LST×27隻の搭載能力は間引かなければならないでしょう。LST満載時の搭載能力は、港湾から港湾への輸送に限られており、ビーチングの場合には搭載量は減少します。
米大戦型LSTの場合、ビーチング時の輸送量は最大搭載量の20%。韓国に引き渡されたアリゲータの場合、ビーチング時の輸送量は最大搭載量の30%です。
中国LSTのビーチング輸送能力を、高めに(一部のLSMが参加する可能性を含むとして)50%と見積もった場合、その輸送能力は1隻あたり戦車・装甲車×5、兵員100名程度でしょう(他にも物資や弾薬を積まなければいけません)。これに崑崙山の輸送能力(戦車・装甲車×20、兵員600名)を加えたものが中国軍の渡洋侵攻戦力となります。
中国軍の渡洋侵攻能力
戦車・装甲車 × 140両
兵員 × 3500名
といったところ。
戦車・装甲車の搭載量は、砲やトラック、対空ミサイルや工兵機材で食われてしまう。兵員も工兵や海岸作業部隊を含めなければならない。この点を考慮すると、3個大隊程度と見積もるのが妥当でしょう。(これが今回の新刊の見積)
JSF氏は例によって商船による上陸戦を指摘しています。今回は特にRORO船を提示しているようです。
しかし、RORO船が入れる岸壁は意外と限定されます。港内水深・岸壁水深とも-6m以上の港が必要です。上陸適地の近くにそのような港湾が都合よく存在するかどうか。存在したとしても、使用拒否(破壊)される可能性は高いでしょう。また風当面積が大きいので、港外作業はできません。ポンツーンの類を持ってきても、外海に面したような、波浪の打ち込む上陸泊地では何もできない。
話が抽象的であると分かりにくいかもしれません。ですから、仮に頭の体操としてそれを考えてみましょう。中国と日本が戦争になること考えがたいものです。さらに日本の強力な海空戦力や米軍との同盟を考慮すれば、中国が本土上陸を試みることはありえません。ですが、そういった条件を無視してみます。
中国の本土上陸を考えるのであれば、上陸適地は鹿児島西岸の吹上浜になるでしょう。この上陸戦において、早期利用が可能な港湾は串木港しかありません。ここを防備しておけば、港湾の奪取も、被使用もできません。
港湾使用拒否も簡単です。荷役設備の不要なRORO船といっても係船柱がなければ係留できないでしょう。全部切ってしまえば良い。他の種類の商船もあわせて使えないように、入港航路・-10m岸壁(全長185m)・-7・5m岸壁(船長260m)のそれぞれに2隻づつでも使用拒否用の沈船を用意し、あるいは邪魔になるように予め沈めておけば良い。日本は戦後にサルベージできるが、戦争中、中国がそれをするのは難しい。港外に浅海用の小型機雷を入れても良いでしょう。戦争が終われば掃討すればよい。それだけで商船と港を用いた上陸戦はできなくなる。商船に搭載した部隊は遊兵となります。
港湾を使わないで上陸することはできません。吹上浜は外海に面しており、上陸用の泊地の設定も難しい。波やうねりがそのまま入ってくる。特にノッペラボウで背の高いRORO船は風で振れ回ってしまう。自前の錨を前後にいれても、把駐力で負けてしまう。RORO船は港内でしか物資の卸下はできません。
結局、商船による上陸戦は不可能です。このような困難があったので、揚陸艦が誕生したわけなのです。
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