RSS
Admin
Archives

隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

→ サークルMS「隅田金属」
→ 新刊・既刊等はこちら

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Powered by fc2 blog  |  Designed by sebek
2014.01
14
CM:2
TB:0
12:00
Category : 未分類
 冬コミあとがきだけど、時期ものなんで転載します




 全くクリフハンガーです。『ゴールデンタイム』に夢中ですが、興味持続のため、毎話最後を宙吊りにするクリフハンガーは古典的な手法です。しかし、いいように弄ばれるのも情けない限りです。でも、最終カットがリンダと万里の写真、それを手にした香子となると、次回の波乱に期待をしてしまいます。今も次回が気になって仕方がありません。

 対して、艦これもアニメ版IS もお歯があいません。萌えとメカと戦闘は混ぜないほうがいい。

 艦これの類は、擬人化が平板にすぎます。個艦のイメージからの性格付けも単純です。ヒネリもない定型的な反応だけ、どうも耐えられません。

 アニメ版IS も同じです。定型的な外国人像で作られたヒロインを並べて、定型的な言動反応しかしません。英国人の作る料理が不味いとする話をよく作れたものです。製作も読者もドイツ人に対する理解が戦争マシーン、ブロッケンJr なのは失笑です。

 アニメ版のIS は、客層に受ける要素を揃えるだけした。発展方向も、ファン層がもつメカと鉄砲と女の子への興味、お嬢様、ツンデレ、元気、不思議系といった、全ての萌要素を揃えることに汲々とするだけです。実際に2 期をみても、5 人のヒロイン達で何かの物語を作るより、更識姉妹といった違う要素を組み込むことに努力するだけです。

 ドンパチを物語の山場と勘違いしてもいます。ロボットモドキでドンパチやってもクライマックスにはなりません。それまでのドラマツルギーがないのですから盛り上がるわけもない。だからアニメ版ISの後半は見ていて苦痛になるのです。

 なぜ原作から不出来なIS 学園編を選んだか怪訝です。IS 学園編はヒロイン山田真耶の物語のついでです。どうして本編『六十四の瞳』をやらないのか。

 初任教諭、山田真耶と学生の成長を描いた明るい前編と、10 年後にある落差の後編は最高でした。前編は気弱な巨乳だけが取り柄の新任オナゴ教師、山田真耶に萌える話ですが、背景には生徒たちの成長にあわせて真耶も強くなり、そして生徒との紐帯も強くなっていく様子が丁寧に描かれています。

 そして後編です。10年後、教育委員会勤務となった真耶は、卒業生の進路調査の仕事に従事します。世間知らずの真耶は、初めて学園の外にある残酷な
現実に初めて向き合うのです。

 「進路でIS を希望する女の子は20 万、IS 専門学校枠は2 万人。だがIS 操縦者資格は世界で2000だけ、さらに世界にあるIS の数は200、IS で食べられるプロの椅子の数は200 しかない…」から始まる千冬主任の説明は、現実世界での「夢を現実」系の厳しさを情け容赦なく突きつけます。そして、卒業生へのインタビューがはじまるのです。

 早くに夢を諦めたものは、平穏な暮らしを送っています。才能からIS を諦め家業についた、のほほんさんは安定した暮らしを続けています。

 200 の枠に入れた者も幸せです。コネで地位を得た箒や、香港出身者への差別隠蔽として席を得た鈴音は成功者です。ドロップアウトした一夏を見下す態度、言動は、上昇した女の傲慢そのものです。

 プロは落命しても手篤い。簪は戦死したが扶助で立派な墓が建っている。しかし「簪は私より出世するとばかり言ってました、戦死昇任でも本望でしょう」と繰返すだけの楯無には悲しいものがあります。

 最終段階で淘汰された者は悲惨です。すでに方向転換できない段階だったシャルロットは、他の職業につく技能も経験もありません。できる仕事はブラックな仕事しかない。軽蔑されるアキバのリトグラフ販売業、その実態はデート商法に身を持ち崩して日銭を稼ぐ毎日です。

 しかし、最も残酷なのは、パイロットになれてもプロになれなかったセシリアでしょう。資格は得たものの、IS の仕事は殆どない。しかし、その誇り、麻薬のようなやりがいからセリシアは逃げられない。浪費癖と実家の没落もあり、セックスワーカーに身を落とす。しかしプライドは捨てられない。インタビューはわざわざ母国にもどり、同情する表情の真耶に「わたくし街娼や労働者向けではありません、社交界でも名誉を認められたコーティザン、高級娼婦ですの」と去勢を張る悲しさです。

 セリシアやシャルの姿は、声優、将棋、音楽という夢を食い物にする教育産業への皮肉です。プロでク食えるのは一握りだけ、それ以外は塵芥と捨てられ、中途半端に残るものには地獄が待っている。

 『六十四の瞳』は、強化失敗で失明したラウラが失意から立直り、鍼按業で人を救う側に転じ社会に居場所を見つける感動の物語と言われがちですが、本質は「夢を現実」系の現代残酷物語です。その残酷さを描いたルポとして評価されるべきでしょう。


「上野広小路で立ってなかった?」(一夏)
著者兼編集兼発行人

文谷 数重 
スポンサーサイト

Comment

非公開コメント

ニコニコ動画でみました

東京オリンピックの中止を掲げて鈴木達夫弁護士が東京都知事選に立候補しましたよ。
良かったですね。

アニメ評論で文谷先生がコミケに参加するのも面白いかもしれないw