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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2010.09
05
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00:06
Category : ミリタリー
 結局のところ、相手国が
・ どこに
・ どれくらいの

 規模で上がってくるのか示せない点が問題ですね。

 そもそも、
・ 海上、航空自衛隊戦力
・ 同盟国である米海空軍

が無効化される状況で、

・ 10式戦車なら勝てる

 という状況を作為することが難しいのです。


 日本への上陸戦を考えるにしても、実際に海空自衛隊・米軍が機能しないことはありえません。周辺国の海軍力も、渡洋侵攻能力も大きいものではありません。その上、日本は無政府状態でもなく、10万を超える陸上自衛隊が存在しています。
 結局のところ、周辺国は、日本に上陸作戦を起こすことはできないのです。この状況の中では、陸上戦力の、さらにその一部である戦車の質が問題となることはありません。

 そもそもの「対上陸戦は戦車の質で決まる」といった主張に無理があります。「74式(あるいは90式)では負ける、10式なら勝てる」というのは「戦車vs戦車」しかも同数・同条件での戦いを考えた話です。対上陸戦を、さらに陸戦を全て「戦車vs戦車」に収斂させてしまう点が誤りでしょう。対上陸戦を「戦車vs戦車」だけに単純化して、陸上戦力全体について考えていない。さらには海空戦力の参加についても考えてない点は重篤な誤りです。
 特に後者は、海空戦力の参加は上陸部隊のその後の補給を遮断させることができます。補給に確実性がない、手持ちの物資だけの上陸戦を、しかも日本相手に実施することはありえないことです。 

 いずれにせよ、日本の周辺国の持つ渡洋侵攻能力は1~3個大隊に過ぎません。しかも、周辺国の航空戦力の及ぶ範囲は限定されます。
 ロシアも中国も日本と友好関係にあり、攻めて来るとは考え難いのですが、仮の話として、頭の体操として考えてみましょう。

 ロシアの航空戦力は、サハリンから道北(北方領土は補給限界の先であって、大規模な作戦行動は取れません)まで出るのが限界でしょう。中国であれば大陸本土から九州・沖縄が精一杯でしょう。
 周辺国航空機の航続距離に多少余裕があっても、それ以上進めば進むほど航空自衛隊の要撃(空自はJADGE等の支援を受けられます)が厳しくなります。
 ロシアも中国もこの範囲でなければ船団にエアカバーを与えることもできません。エアカバーを離れれば、海空自衛隊の航空戦力によって船団は重大な被害を受けるでしょう。いきおい、上陸適地もこの範囲に限定されます。

 道北であれば、上陸適地となるのはオホーツク岸の猿払から浜頓別の海岸だけです。そして付近で利用可能な港湾は稚内港だけです。
 沖縄であれば上陸適地は中南西岸の海岸となります。防備すべき港湾についても、特に那覇港を防備して、糸満港と名護港あたりを防備すればよい。九州の上陸適地は吹上浜しかありません。それ以外の海岸は、上陸適地とはならないでしょう。直に東シナ海に面していないため、わざわざ長い時間をかけて上陸船団を水道を通さなければなりません。その間、日本の海空戦力やSSMに晒されるリスクが跳ね上がります。そして吹上浜付近で利用できそうな港湾は串木野港だけですから、そこを防備すればよいわけです。

 日米の海軍力に対して、ロシアや中国の海軍力は比較劣勢です。いきなり太平洋岸に上陸を試みることはできません。上陸戦に伴う港湾防備の所要についても、全国に重要港湾がいくつあっても、対ロシア戦では稚内港だけを防備すれば充分ですし、対中国戦では那覇と串木野港だけを考えておけば充分です。周辺国の海空力は限定されています。その海空軍力では、エアカバーの範囲でしか上陸戦を実施できないのです。

 いずれにせよ、日本が強大な海空戦力を持ち、米国と同盟しているのです。1~3個大隊程度の渡洋侵攻能力しか持たない周辺国は、日本本土への上陸侵攻を実施することはできません。
 この前提からすれば、本土防衛戦力としての戦車については、その質は問われないということなのです。
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