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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
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2014.02
09
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19:46
Category : 中国
 国交正常化で中国は賠償権を放棄し、その代わりが対中ODAになった。このあたりをスットばして「中国側の感謝が少なく、外交の観点から効果があったと言えない」とする主張には、違和感がある。

 高橋洋一さんの「アフリカ重視のODA戦略 かつての中国援助の轍踏むな」※ は、日本のODAの仕組みと、アフリカへの適用について丁寧にまとめている。元内閣参事官という立場もあるので、日本ODA支出について簡単に理解する上で役に立つ記事である。

 しかし、かつての対中ODAの性格を、アフリカ向けODAと同一視するのは、妥当ではない。対中ODAは、戦時賠償の代替であった。その点で、アフリカその他の、資源や常連理事国の議席を買うためのODAと同一視して評するのは、誤りである。

 日本は、どちらの中国に対しても負目がある。戦後、民国(国民政府)は、蒋介石総統の指示により、対日戦争犯罪裁判も穏やかな処置にとどめ、対日請求権を要求しなかった。新中国(大陸)も、戦争犯罪処理は最低限に止め、国交正常化で対日請求権を要求しなかった。

 日本は、対日請求権をチャラにしてくれた件について、お礼を兼ねて対中ODAを始めた。このあたりは、日中にある阿吽の呼吸である。この点を、証拠もなく曖昧であると言われる方は中公の『日中国交正常化 - 田中角栄、大平正芳、官僚たちの挑戦』を読めばいいだろう。

 対中ODAは、形を変えた賠償であった。

 しかし、高橋さんの記事では、その点を考慮せず、アフリカ向けODAと同一視している。この点が、気にかかるのである。
 しかし、かつて中国へ巨額の円借款を行い、今の国際協力機構に統合される前の海外経済協力基金の総裁(歴代大蔵省からの天下り)は閣僚級の扱いを中国から受けたという話もある。

 それにもかかわらず、中国政府が日本からの借款に感謝したと公の場で大々的に語ることはなく、そうした援助は、外交の観点からあまり効果があったとはいえない。また、今のODAの原則に書かれている環境配慮、軍事回避、西側諸国価値観の観点から見て、良いODAだったと言い切れないだろう。
「アフリカ重視のODA戦略 かつての中国援助の轍踏むな」http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140209/dms1402090728005-n1.htm
その前提条件にある差異を無視し、同じODAとして取り扱っている点は、主張として乱暴に見える。

 また、対中ODAはほとんどが借款である。対中ODAの総額は、3.5兆円だが、うち3.15兆円が低利ではあるが融資であり、返済もつつがなく行われている。外務省資料

 すでに終了した対中ODAのは、正味は賠償であり、しかも形態は借款であり、返済も順調である。その対中ODAを、資源や常任理事国といった欲目当てて、アフリカにバラ撒くODAと一緒にするべきではない。

 対中ODAもについて、お金の使い道や、日本への感謝が少ないと評価することは、経緯からすれば「何様のつもりか」といった話になってしまう。

 まずは、日本側は言うべき発言ではない。中国側に対して不満があれば、中国と話し合って終わらせればいい話であり、事実、そのようにして対中ODAもは2008年に終わっている。あれは賠償だったと割りきって忘れればいいだろう。



※ 高橋洋一「アフリカ重視のODA戦略 かつての中国援助の轍踏むな」『ZAKZAK』(産経新聞,2014.2.9)http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140209/dms1402090728005-n1.htm

※※ 撫順収容所の件は、洗脳についての話もあるが、寛大な処置であることは間違いない。そもそも戦犯指定の際に、周恩来は上限数を約300(だったはず)とし、死刑をしないことを指示している。
 このあたりは、中帰連関連が詳しい。新中国への支持者養成の目論見や、帰国後の政治的な立場云々もあるが「そこまでしといて報復で処刑しなかった」といったあたりは、日本にとってはありがたいものであった。
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Comment

非公開コメント

相変わらずフジサンケイの記事は右派受け狙いなんだなあ…

もしもニクソンショックで

いつも思うのですが、
「ニクソン大統領の中国訪問以降も、日本は台湾政府を唯一の中国の政府だとして、大陸を無視するという選択は出来たのだろうか。」

これは気になりますね。ネトウヨさんからすれば、これが過去に取るべき外交だったんでしょう。
おそらく極東の勢力図がトンデモなくねじ曲がったものになったと思いますけど。

Re: もしもニクソンショックで

ぶっちゃけ、正邪じゃなくて
・ 中国大陸の市場や資源を抑えているのはどちらか
・ 東アジアでの政治経済に影響力を持っているのはどちらか
ですからね。

思想信条というよりも、必要性が優先されますよねえ。東シナ海を挟んで対面している日本と新中国が国交を持たず、漁業やら交易やらで、毎回「一つの中国」とやらで揉めていたわけで、それも、不便この上ないことですから。

まあ、台湾に罪もないのですけど。内戦にボロ負けして大陸から追い出されたのだから仕方もない話ですね。

> いつも思うのですが、
> 「ニクソン大統領の中国訪問以降も、日本は台湾政府を唯一の中国の政府だとして、大陸を無視するという選択は出来たのだろうか。」
>
> これは気になりますね。ネトウヨさんからすれば、これが過去に取るべき外交だったんでしょう。
> おそらく極東の勢力図がトンデモなくねじ曲がったものになったと思いますけど。

No title

A級戦犯の選定には蒋介石の意向が働いてると聞いた事が。
A級戦犯のうち相当な人数がいわゆる「支那通」だったのは、日中の戦争で甚大な被害をこうむった中国の面目を立てるためだったと。
中国がA級戦犯に厳しいのは当たり前。

対中ODAについての情報サンクスです!

>>また、対中ODAはほとんどが借款である。対中ODAの総額は、3.5兆円だが、うち3.15兆円が低利ではあるが融資であり、返済もつつがなく行われている。

中国って、実は誠実なんですね。きちんと返済するなんて。

それに引き換え、ミャンマーその他の国々は…(棒読み)
誰も批判しない2兆3千億円の債権放棄~ミャンマー会談を受けて 本山 勝寛
http://agora-web.jp/archives/1538346.html