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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2010.09
09
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02:41
Category : ミリタリー
 アメリカ戦略爆撃団調査報告、日本人の戦意に関する件の関連資料(マイクロフィルムだけど)を閲覧。中の治安関係情報に、東京、芝区のペンキ職人の◯◯さん(名前を伏せる)が昭和十九年に書類送致された件の概略が載っていましたが、なかなか興味深い。◯◯さんの容疑は「流言蜚語」(海軍刑法、言論出版統制法、臨時取締法、刑法)ですが、興味深いのはその内容です。
「米国の産業能力は、日本を数倍する、勝てない」
「アメリカの戦略爆撃が始まる、日本の産業基盤は崩壊する」
大本営発表は、ウソだらけ
「働いて給料貰っても、戦時債権なんか買わされたんじゃ適わない」
「日本の軍事力ではアメリカを打倒できない、講和しよう」
アメリカの科学力を前に、日本の飛行機や軍艦は太刀打ちできない、
 しかもアメリカの方が数が多い

「レーダーを持っているアメリカ海軍と日本海軍の戦いは
 相手が戦車、こっちが鉄砲で戦うようなものだ」
徴用工も一生懸命だけど、ロクロク飯も食えない状況では
 飛行機の4割が不合格品になるのも当然

多分、このペンキ屋さんは真実をつかんでいる。流言蜚語じゃなくて、秘密情報漏洩罪でしょう。

 この手の噂って「ここだけの話だけど・・・」って、市井に蔓延していたみたいです。なんせ言論統制化で、知りたい情報については信用できない官製宣伝しかされていない。そうなると「噂の法則」のとおり、噂が出まわり易くなる。
 この◯◯さんが逮捕された昭和19年は、公式報道の信用性が失われ、従来流布していた噂が国民の間で真実味を帯びてきた(真実だけれども)時期なのでしょう。だから官憲も噂を「噂だから」と放置できなくなってきたのではないかと。
 ちなみに、渡辺鉄蔵の「一茶寮事件」(大本営発表での撃沈数/損害数の統計を取っただけで、戦争に負けつつあることが明らかにしてしまったので海軍刑法違反)もこの時期です。昭和19年の時期には、すでに日本人はやる気をなくしているのです。

 昭和19年って、勤労意欲もかなり低下しているのです。政府の方針により、土日も働け、と職場に引っ張られるのですけど。
 工場には原材料や機械がない、でも徴用工等も投入され、人手は一杯あまっている。高賃金好待遇で要領の良い工員と引っ張られた徴用工の軋轢があるだけで実は仕事が全然ない。ズル休みも増えている
 それをコントロールする事務職もやることがない。資材は統制によって自動的に割り当てられる、労働力は国が丸かかえで徴用工を出してくれる、資金繰りも国がバックアップしてくれる、生産量最優先だから製品はロクな検査もなく納入されてお金が入ってくる。経営の必要性が全くなくなっている。石橋湛山は当時の段階で「モウ資本主義じゃない」「科学的経営はどこに行ったか」と嘆いています。
 そして余った時間は精神教育、バケツリレー、竹槍訓練…アメリカ戦略爆撃団調査報告でも、工員・経営者の戦意喪失が、割と早い段階になるのも当然です 。

 工員層の戦意低下の現れが、芝の◯◯さんの発言なんでしょう。そして戦略爆撃が始まる昭和20年になると、このような政府・軍部に対する不満が公然となります。国民が離背するのです。
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