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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
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2014.02
17
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Category : 未分類
 「アメリカの対中強硬派と警戒派と協調しろ」という主張があるのだが、現実性に欠ける話にしか見えない。

  北村淳さんは「オバマ政権の対中政策は甘すぎる、真剣に危惧するアメリカの対中強硬派」でそのように主張している。対中強硬派と協調しろ、中国を封じ込めしろ、レッドラインを作れ。対中警戒派閥と協調しろ、中国は張り子の虎ではない、日本も防衛力を強化しろとする主張である。

 しかし、そのいずれも難しいのではないか。

 対中強硬派や対中警戒派の主張も、現実的ではない。

 対中強硬派が主張していると北村さんが述べている封じ込めやレッドラインは、50-60年代の発想であり、今日では実現不可能である。中国が外洋艦隊を持たず、内政に必死だった時代ではない。封じ込めやレッドラインを現実化するための戦力は、米国やその同盟国にはない。そもそも、不断に中国を批判するために使っている公海の自由や、航行の自由との兼ね合いも付けられない主張である。

 対中警戒派が主張するとする、中国は張り子の虎ではないという注意喚起も、あまり意味はない。確かに中国軍のもつポテンシャルは強力であり、東アジアで大規模な戦争を起こせるかもしれない。しかし、その可能な行動は、基本的に陸続きの諸国や、弱体な海空戦力しかもたないアセアンに対して限定的な戦争にすぎない。一六勝負で台湾を武力回収するにしても、米国と日本が参戦する見込みがあれば、まずはできない。太平洋戦争のように追い詰めなければ、なかなか暴発するものでもない。

 そもそも、対中強硬派も対中警戒派も、アメリカでそれほど力を持っているわけではない。今、内政や経済を優先すべきアメリカにとって中国は、打倒すべき敵というよりも、貿易のパートナーである。中国はかつてのソ連とは違う。打倒すべき敵ではない。もちろん、安全保障の分野では仮想的であり、覇権のゲームの相手かもしれないが、経済的には自由貿易や資本主義の投資先であり、身内である。

 この状況で、日本が、対中強硬派や対中警戒派との連帯してもメリットはない。彼らはアメリカでの多数派ではない。その上、現実的な主張をしているわけでもない。日本が彼らと結んでも、かつてのように封じ込めはできない。

 逆に、日本だけが中国と敵対するマズイ状況となる。今でも中国との関係は悪い。もちろん、政治的には緊張していても、互いに経済や人的交流で損はしなようにしているが、そろそろ限界である。その上、対中強硬策をとると、日中関係はさらに悪化する。できもしない中国封じ込めのために、日本が中国の市場や資源にアクセス出来ない状況を生み出して良いものだろうか?

 日本は、70年代までの米中対立でも、大陸との関係を重視していた。 日本は、アメリカが対中強硬で固まっていて、それに追従する立場でも、裏では新中国との関係改善を行っていたわけである。表向きは互いに敵対しているが、日本と新中国は相当連絡をとり、大規模な人的・経済的交流を模索していた。このあたりは、LT貿易の実例をみればよい。実際に、日中関係はニクソン訪中で始まったわけではない。ニクソン訪中で表面化させることが許されただけの話である。実際、二つの中国問題を顕在化させない方法である交流協会-代表事務所方式も、日本と中国が最初に発明した方式であり、後に米国はそれに倣っている。

 北村さんは、日本が米国を先導して中国と対立せよと主張している。しかし、そのメリットは明らかではない。逆に、日本が大陸へのアクセスを失う可能性といったデメリットが大きい。なぜ、そのような主張をするのかが怪訝なのである。

 中国は不倶戴天の敵ではないが、好き勝手できないように軍事力を強化しようではいけないのだろうか? 「中国は安全保障では敵だが、経済的には仲間である。相互に経済に触らないように互いに軍事力競争をしよう」でいいのではないか。

 この点、対中強硬派の主張は、妙な理念、一種、宗教的な情熱というか、十字軍めいたできもしないのに妥当せよといった発想ががあるように見えてならない。特に『JB Press』の日本再生-国防記事は、そのような非現実的な記事ばかりであることに失望するのである。



※ 北村淳「オバマ政権の対中政策は甘すぎる、真剣に危惧するアメリカの対中強硬派」『JB Press』(日本ビジネスプレス,2014.2.13)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39917
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Comment

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No title

 まー、完全にアメリカの出方を見誤ったねえ。
 ヘリテージ財団あたりの対中強硬派がそもそも一連の領土紛争を仕掛けたけど、連中はいなくなって紛争だけが残って置き去りにされた状態。

 こういうのを兵法に言う「上屋抽梯の計」屋上に上げてハシゴを外すというんだが