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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2014.02
22
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TB:0
13:46
Category : 未分類
 JSFさんには「相手は航空攻撃をかけない可能性があるので、海上作戦に制空権は必要ない」と考えているようだ。敵制空権下でも、水上部隊が航空攻撃を受けずに済む、とする確信めいたものがあるのだろう。先からあった不思議な認識「上陸戦に制海権も制空権も要らない」も、このあたりの判断が元にあるように見える。

 JSFさんは、軍艦大和は、直掩機がなくとも沖縄に行って帰ってこられると述べている。まず、JSFさんは大和以下の沖縄特攻について、帰りの燃料があるから片道特攻作戦ではないと主張している。
JSF@横須賀鎮守府元帥‏@obiekt_JP
@wheyh 大和は往復できる燃料を積んで最後の出撃をしています。
9:38 - 2014年2月19日
https://twitter.com/obiekt_JP/status/436193029884366848

敵の制空権・制海権下に水上部隊だけを突入させる、その作戦のどこに帰れる見込があるのかとする反論に対しても、帰れる見込みはあるとも主張している
JSF@横須賀鎮守府元帥‏@obiekt_JP
@wheyh 米側の当初の方針は航空攻撃を仕掛けず戦艦で相手をする積りだったので、もしこの通りに進めば直掩機は関係有りません。考えていた人は沢山いました。
9:54 - 2014年2月19日
https://twitter.com/obiekt_JP/status/436197135327846400

つまり、JSFさんの主張を整理すると、大和以下は特攻作戦ではない「往復できる燃料を積んで」いるのがその証拠であり「米側の当初の方針は航空攻撃を仕掛けず戦艦で相手をする積りだった」ので「直掩機は関係有りません」というものだ。

 しかし、帰り燃料を積んでいるから特攻作戦ではない(JSFさん)とする主張はおかしい。実際に特攻作戦で片道燃料の例は聞いたことはない。航空特攻作戦でも、天候や整備不良の問題から接敵できない可能性があるので、片道燃料といった話はない。戻れない兵器についても、桜花にせよ回天にせよ、確実に相手を攻撃できる位置につくまでは、発進しないことになっていた。

 また、JSFさんのいう「航空攻撃を仕掛けず戦艦で相手をする積り」も間違えている。これは「水上部隊だけで沈める」決心ではない。スプルーアンスは戦艦以下の水上行動群に迎撃を命じたが、航空部隊に手を出すなという指示はしていない。米海軍には「航空攻撃を仕掛け」ないとする指示はない。実際、空母部隊を指揮していたミッチャーは、大和以下を潜水艦で確認した6日夜の段階で「大和以下を可能な限り遠くで撃破する」(モリソン戦史,14巻,203頁)決心をしている。

 この点は、例によってウィキペディアあたりだけを読んだ判断だろう。「坊ノ岬沖海戦」は、日本側の関心の高さから細かい既述が多い。そこにある
米軍のアイスバーグ作戦指揮官レイモンド・スプルーアンス長官はモートン・デイヨー少将の第54任務部隊(旧式戦艦部隊)に対し、日本艦隊が日本本土の基地に後退できない、かつ九州の日本軍機の援護を受けられない南方まで誘い出し砲撃戦で大和を撃沈せよと命じた。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9D%8A%E3%83%8E%E5%B2%AC%E6%B2%96%E6%B5%B7%E6%88%A6
あたりを読んで、JSFさんは米海軍という1人のプレイヤーが「航空攻撃を仕掛けず戦艦で相手をする積り」とでも判断したのだろう。※

 米国には「航空攻撃を仕掛けず戦艦で相手をする積り」だったので、大和以下は航空攻撃を受ける見込みはないため「直掩機は関係有りません」とするJSFさんの主張は成り立たないのである。

 JSFさんが強弁している背後には、敵制空権下でも、水上部隊が航空攻撃を受けずに済む、とする確信があるのだろう。この大和の行動にしても、敵が航空攻撃をかけない可能性はあり「直掩機は関係有りません」と述べている。そして「[直掩機は必要なりと]考えていた人は沢山いました」と述べ、非現実的ではないと主張している。

 しかし、現実はゲームとは違う。JSFさんは艦これに夢中で、念願かなって元帥に昇任なされたことを特記してまで自慢したいらしい。それはそれでおめでとうございますなのだが、ゲーム的な発想で現実を語るのは危ういだろう。しかし、艦これ※※ は現実の戦争モデルを再現しようとしているものではない。敵制空権下に水上艦だけで突っ込んで無事に帰れると主張するのは、ゲームの攻略法に限定したほうがいいだろう。



※ 実際には、高級司令部は細かいことまで口を出さない。事前に練られた作戦計画に細かいことを書くことはあっても、実際にはその情勢の変化に応じて、連続して大枠の判断を示す。高級指揮官が出す指示や命令の類も、号令めいた命令ではなく、促進と禁止である。もちろん、水上部隊に大和以下を迎撃する方向に促進したことは、航空部隊に航空攻撃を禁止したことにはならないし、実際に航空部隊に航空攻撃を禁止していたわけでもない。

※※ 水上艦と潜水艦で艦隊行動ができるらしいあたりで、夢をかなえるゲームであって、現実の戦争モデルとのすり合わせを目的としたゲームでもないだろう。やったことないから知らないけど。
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Comment

非公開コメント

No title

そもそも日本側は米国側の意図など察知できていたわけではないので航空機が来るという想定のもと動かしていたと考えるのが普通であり
JSFさんの主張する米国側がどういう意図だったかはそもそも日本側の意図がどうだったかの反論としては成り立っていないのではないでしょうか

これまた痛烈な一撃

モリソン戦史からのページ付き出展とは。
これ所蔵本ですか?

ゲームやるなら

ボードですね。
中学生の頃ですが、エポックの日本機動部隊で遊んでました。
盤に駒並べて、解説書をじっと見てると、戦史の意味がだんだんわかってくる。

たぶんパソコンゲームに夢中のお方は、存在すら知らないと思われますが。

No title

例によって洋上2割撃破教の信仰のためには、航空優勢下で航空機が上陸船団に攻撃してこないって教義がいるってことですか

Re: ゲームやるなら

この歳になると、ゲームの戦争モデルが面白いんですよね
実際には、相手探すのがメンドイのでやらないですけど
たまにやると勝ち負けよりも、限界条件的な運用
例えば日露戦争の露軍で全軍で旅順に籠もるとか、全戦力で日本軍にラッシュするみたいなヤツをやりたいですねえ

> ボードですね。
> 中学生の頃ですが、エポックの日本機動部隊で遊んでました。
> 盤に駒並べて、解説書をじっと見てると、戦史の意味がだんだんわかってくる。
>
> たぶんパソコンゲームに夢中のお方は、存在すら知らないと思われますが。

大和

あれ、大和は片道燃料とする予定だったのを見かねた関係各所が「員数外」の燃料を集めたと聞いた事があります。(・・?)

No title

 航空戦でも海戦でも絶対的な制空権や制海権というのはなかなか成立せず、航空優勢や海上優勢を劣勢側が一時的に確保しえるという主張からの議論の展開だと思います。

 米空母機動部隊も夜間や悪天候時にはさすがに大編隊を上空にあげられないでしょうから(夜間戦闘機は載せてたとしても)、ソロモンのヘンダーソン飛行場砲撃と同じで薄明時までに勢力圏に戻れるか沖縄本島に乗り上げられるのであれば、ともかくも作戦の狙いの一つは達成したというところだと思います。

素朴な疑問なんですが、戦艦ちゅうもんは陸に乗り上げた状態で主砲を撃てるものなんですか?
出典は忘れましたが、戦艦は水に浮かんだ状態で砲を撃つのを前提に作られているから、
陸に乗り上げた時に船体が左右どちらかに傾いたら最後、
主砲を旋回させることも撃つことも出来なくなると聞いたことがあるのですが・・・?

No title

>きらきら星さん ある程度の傾斜なら射撃可能です。大和型のデータは見たことないですが、長門型だと傾斜4度で主砲弾の揚弾速度半減、10度で機力化されていない副砲は射撃不能ということなので、やってやれなくはないです。
ただ傾斜以前に海岸で砲台化した軍艦は間接射撃の観測手段を持たないので、あまり意味のある射撃は出来ないのではないかと思います。

陸地に乗り上げる前に座礁するのでは?

>>まさとしさん

なるほど、考えてみれば大和は艦底からてっぺんの測距儀までの高さが50mくらいですか。
周囲に小高い丘でもあれば向こう側が見えないから射撃なんて無理ですな。
もっとも砲台云々は出撃の名目で、突っ込む行為自体が目的だったでしょうからねえ・・・

No title

>しゃもじさん
この場合は「座礁」するのも「陸に乗り上げる」のも、実質的に同じだと思うのですが、正確を期すならご指摘のようになる可能性が高いかと思います。
もっとも、場所によっては座礁以前にリーフに引っかかるだろうなという気もしますが。

どっちにしても傾斜が小さければ射撃自体は不可能ではないが、その状態からの射撃の作戦的有効性は小さいという点は変わらないので、手間の割に大した効果のない作戦である点は動かないように思います。

No title

>とん氏
>航空戦でも海戦でも絶対的な制空権や制海権というのはなかなか成立せず、航空優勢や海上優勢を劣勢側が一時的に確保しえるという主張からの議論の展開だと思います。

帝国陸海軍はその発想でガダルカナルに突っ込んで高い代価を支払った。
この手の思想の持ち主は歴史を無視するね。

>米空母機動部隊も夜間や悪天候時にはさすがに大編隊を上空にあげられないでしょうから(夜間戦闘機は載せてたとしても)、ソロモンのヘンダーソン飛行場砲撃と同じで薄明時までに勢力圏に戻れるか沖縄本島に乗り上げられるのであれば、ともかくも作戦の狙いの一つは達成したというところだと思います。

「航空攻撃を避けるために夜間しか動けない」
この時点ですでに劣勢なのが現実。
なぜなら、夜間の短い間では補給物資の揚陸作業ができないからだ。
朝が来て、敵の航空攻撃で揚陸中の物資と輸送船を破壊された結果、餓島になったんだ。
揚陸に成功したわずかな物資も、輸送作業中に航空攻撃にさらされては前線への到着が大きく遅れる。

・敵制空権下では物資が輸送できない→飢餓と病死
・従って重装備の移動も砲弾の集積もままならない→火力戦で圧倒的に不利なため夜襲以外の選択肢がなくなる
・兵員の移動自体も困難→航空攻撃を避けるために道なきジャングルを進んだため落伍部隊が続出し遊兵化

以上のようにガダルカナルの陸軍の失態はほとんどが制空権喪失のせいである。

艦隊決戦でも不利に働いた。
三川艦隊だって、夜間のみしか動けないという制約があったから、米軍輸送船団を撃沈する時間がなくすぐに帰った。
そもそも、ガダルカナル周辺で発生した海戦が夜戦ばかりなのは、制空権をほとんど維持できない日本側が夜戦を望んだからだ。
「日本海軍は夜戦訓練していたから訓練してない米海軍より有利」などというおめでたい理由ではない。
「不利だけどひょっとしたら一矢報いることができるかも」という悲壮な覚悟のもとで戦ってたのだ。
事実、夜間しか動けない日本海軍は、海戦のほとんどで戦術目的も戦略目的も達成できなかった。

島嶼の奪い合いでは「制空権を一時的に確保」程度では駄目だといういい見本。

沖縄海域で敵艦を打ち払ったら、もしその時生き残ったらの話で砲台代わりが主目的でないっす
それを議論するのもなんだかね、お笑いです

No title

しかし、航空優勢を確保するといっても、航空部隊を支える産業基盤や通信網、施設自体にもあちこち脆弱性はあるでしょうし、整備するのに数年単位の時間を要する正面戦力に傾注するにせよ、一旦緩急事あれば一夜にして法制から人員から整うものでもないでしょう。

また、中国は人口の高齢化で負荷となる時期がそのうち来るんだそうですが、今のところは日本と一度や二度熱戦となってしまっても戦力を回復してさらに充実させるくらいの勢いはありそうです。

それやこれやを考えると、航空戦が死活的に重要というのは当然だけども、あまり航空部隊にあれこれ負担を掛けずに統合戦力として海上・陸上部隊が力を発揮できるのは望ましいのではないかと。

No title

やってみて分かったのは
日米機動部隊みたいなお手軽なモノでも
精密詳細なルールでやっても似たような戦果が出るって事でした。

そう結論付けてからは簡単な方しかやらなくなりましたね

今はもうやってませんがw