fc2ブログ

RSS
Admin
Archives

隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

プロフィール

文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

→ サークルMS「隅田金属」
→ 新刊・既刊等はこちら

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Powered by fc2 blog  |  Designed by sebek
2014.02
26
CM:0
TB:0
12:20
Category : 未分類
 軍艦の速力を軸回転数だけで把握するというのは、やや考えが足りないのではないか。JSFさんは「速度計はスクリューシャフトの回転数から計算するので、空転していたら実測より高く出るし・・・」と述べている。

 寡聞にして軍艦の速力計を回転数から拾うという話は聞いたことはがない。実際には、航海時には対水速力は別に拾う。これをログ速力というが、旧日本軍艦にも測定するための測程儀を付けている。翼車を回すといったやり方だったらしいが、他国では普通に戦前からベンチュリー管を使っていた。

 車はそうなっているから、という発想なら、軍艦だけじゃなくて飛行機もそう計っていると考えているのだろう。大好きなF-35はジェットエンジンの回転数で、オスプレイはローターの回転数で速力を計っていると考えているのではないか。取り巻きも多いのだから、誰かベンチュリー管やピトー管を教えて上げればよいと思うのだがね。

 なんにせよ、JSFさんは、スペック的な細かい数字を振り回す割には、その数字がどの条件で測定されたものか、達成されたものかを知らない。

 そもそも、JSFさんは掴みで計算ができない。今回の例では「16万馬力、34ノットの翔鶴型で40ノット以上を出そうとすれば、30~40万馬力は必要。」 と述べている。立法の法則で推進効率だけで計算しているのだろうが、その概算でも倍は要らない。雑に40/35で計算してもだいたい1.14チョイで、2の立方根1.25よりも小さい。つまり馬力は倍もいらないのは分かる。掴みで2倍近くならともかく「30~40万馬力」といいだすのがわからない。

 馬力の話では後に訂正しているが、JSFさんはそもそも概算が怪しいのだろう。細かい数字の誤りばかり探すが、大きな数字の誤りに気づかない人も居る。他人の計算結果について、最下位一桁の誤りや丸めには煩いが、自分の計算についてはもともとのモデル設計や概算がおかしく、桁をひとつ間違えるタイプがJSFさんである。

 ほかにも、機関出力についてのJSFさんの認識も怪しい点は、興味ふかいものである。

 JSFさんは、公試で機関を10/10で運転した速力を、軍艦の出せる最高速力だと思い込んでいる。だが、10/10は最低保証の定格出力に過ぎず、緊急出力ではない。蒸気タービンであれば、10/10を出しても機関は壊れることもない。半日程度なら、それ以上の出力も容易に出せる。

 特に旧日本海軍のエンジンは、責任問題いやさに能力を過少申告している。基本、軍隊も役所である。旧日本軍艦のエンジンは官製で、役人が設計して、役人が作ったものなのだ。高性能を謳って責任問題になるのがいやなので、機関セクションは重量や定格出力を低めに申告していた。機関科が缶や配管、補機、タービンの異常を見ながら操作すれば、定格以上に相当の出力増加分はできると見て良い。

 ほかにも、公試速力は日本沿岸での対地速力である。当時はマイル・ポスト測であって、計算法も速力の平均の平均を使い、外力の影響を消している。だが、実際の運用では速力を有利にする方向に外力が働くこともあるし、海面状態そのものが良かった可能性もある。

 この辺りから考えれば、ログ速力で40kt出たことは、はっきり否定できるものではない。

 もちろん、40kt出なかったとJSFさんが主張することも、悪くもない。実際にそういう主張をする余地はあるだろう。だが、その根拠となる速力測定や機関出力についての認識があやふやなのでは、JSFさんの主張にはどうもねとなる。

 艦これ以降、旧日本海軍への言及が増えているが、その中身には結構怪しい物が多い。駆逐艦とソーナーの組み合わせとか、魚雷の話とか、啓蒙するような口ぶりでありながら誤りも多い。



 まあほかの人にはこんな失礼なことはいわないけどね。己とは相互主義だし、いまだに他人様にこういった口ぶりだから、誤りを誤りと指差されてもなにも言えないでしょうね。
スポンサーサイト



Comment

非公開コメント