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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2014.03
22
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Category : 未分類
 プーチンには、クリミアを編入しなければならない理由がある。クリミアを失うと、プーチン体制が持たないためである。このため、ロシアのプレイヤーであるプーチンは、民族主義ウクライナや、西側との対決を辞さずにクリミア編入を行った。

 周知のとおりだが、クリミアはロシアからウクライナに移った経緯がある。クリミアは、ソ連時代に、二流市民(二級ほどの待遇ではない)として遇され不満を持つウクライナ人への飴として引き渡されたものだ。

 ソ連時代は、クリミアがどの共和国でも問題はなかった。ソ連邦のソ連国民といったタテマエがあったため、所属する土地がどの共和国であるかは問題にならなかったためである。

 しかし、ソ連がなくなると、クリミアがロシアであるか、ウクライナであるかは問題となる。クリミアに住んでいる連中は、自分たちはまずロシア人だと考えている。ロシア人も、教育や『セバストポリ物語』で染み付いた歴史的記憶からクリミアはロシアだと考えている。クリミア半島やセヴァストポリが、地図上でどこにあるかも知らない連中もそう考えていることは、尖閣諸島がどこにあるかを知らない日本のネトウヨや中国の憤青と同じである。

 ロシア人にとって、クリミアはウクライナに預けてある程度の感覚なのだろう。ロシア人の頭のなかでは、クリミアはロシア領である。これは日本人にとっての北方領土や竹島、尖閣諸島と、略同じようなものだと考えて良い。さらに、クリミアでは歴史的経緯から自分がロシア人だと考え、ロシア語を母語とする連中が過半数を占めている。まず、ロシア人の頭のなかでは、クリミアはウクライナに預けてある、あるいは、ウクライナに租借させている程度の考えにすぎない。この点で、クリミアはロシアにとっての核心的利益であるといってよい。

 そのクリミアの預け先を、反露的なウクライナに委ねられないというのが、今回のロシアによる武力進駐と編入である。いままでのウクライナは、ロシアの権益を認める立場であって、ロシア人の権利とセバストポリの租借権を保証していた。しかし、ロシア派を放逐し、敵対的となったウクライナ民族主義政権には、クリミアは委ねられない。ロシア人はそう考えた。

 この段階では、プーチンには選択肢はない。

 プーチンがフリーハンドであれば、軟着陸の方法もあった。ウクライナ、あるいは少なくともクリミアでのロシア人の内国民待遇や、セバストポリの租借権確認で済ませる方法があったかもしれない。

 ただし、その過程で失敗すれば、クリミアは完全にロシアから切り離されてしまい、プーチンは放逐される。

 プーチンには、ロシア人のナショナリズムに抑えつけるだけの力はない。プーチンは確かに独裁者であり、ロシアの社会体制は権威主義による抑圧体制であり、自由と民主主義は怪しい。しかし、ロシアの世論は無視できない。民衆も、権力基盤である警察組織も、軍隊も、クリミアを喪う、あるいはクリミアでのロシアの支配的立場を喪うことは許さない。それは、プーチンであっても同じである。クリミアを喪うことを坐視すれば、プーチンは権力から放逐される。

 だから、プーチンはクリミア併合を行った。そうしないとプーチン体制が持たない。

 その伝で言えば、北方領土の日本返還も似たようなものだということだ。ロシア人にとって北方領土はロシア固有の領土である。その神聖なロシアの領土を、日本人に割譲することは、ロシア人にはできない相談である。そのようなことをすれば、ロシアの政権は持たないだろう。それは、独裁的権力を持つ政権でも同じである。



 反映直前のラジオを聞いて、追加。
 TBSラジオの「土曜ワイドラジオ東京」でクリミア戦争についても解説(11時半)していたけど、ペトロハバロフスク焼打にも言及していた。「カムチャッカまで波及」という話だけどね。ハワイの沖合で英仏艦隊が集結して、ペトロと、後にサハリンも焼打したという話。
 ペトロハバロフスクがあるカムチャッカや北・中千島、オホーツク内湾は今でも、いわゆるノーマンズランドなので、まあまともな海軍力があればどこの国でも焼打出来る状態であることもかわらない。厳密に言うと、ペトロだけ旅団規模の守備隊というか警備隊がいるが、その場所を除けばまともな戦力はない
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お久しぶりにコメント欄にお邪魔いたします。

ロシアにとってのクリミア回収は、戦略的利害よりも感情の問題だったというのはおっしゃる通りと思います。しかし、プーチン氏には武力によるクリミア侵攻以外の選択肢が無かったというのはどうでしょうか?ご存じの通り、中国に大ウスリー島タラバーロフ島を引き渡すときにも少なからぬ反対がありましたが、彼はそれを抑え込んでいます。プーチン氏の政権基盤があの時ほど盤石ではないとしても、反プーチン派には指導者もおらず、団結もできていない、ということには変わりがありません。

私はむしろ、西側諸国における外交や安全保障におけるルールの実態、それがどこまで建前でどこまで本音であるか、ということについて、ロシア人が無知なのだと思います。グルジア紛争の時も、あの時メドヴェージェフ政権(あるいはプーチン氏)は、別にそれを強いられるような内外の状況は存在しなかったにもかかわらず、トビリシ近郊まで進軍し、南オセチア・アブハジア両国の独立を宣言させ、それをわざわざ承認するという最悪手を打って見せました。今回西側の観測者の最悪の予想を上回る手を打ってきたのも、それが西側で長期的にどういう反応を招くか、ということが想像できてないからだと考えます。

お互いに相手の行動様式が読めてないことから疑心暗鬼に陥る、コミュニケーション不全の一例ではないでしょうか?