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- » 2023 . 10
Category : 未分類
そろそろお迎えも近いだろうワイダ監督の『ワレサ 連帯の男』を見てきたよ。
ここだけの話だが、ネタバレするとワレサと連帯がポーランド労働者党独裁体制に勝つ中身になっている。それはさておき、それよりもワイダが描く社会主義ポーランドの工場経営のアレ加減にマネージャーは何をやっているのだろうと思ったよ。
コメコン体制下でポーランドは造船を受け持っていた。ソ連は軍艦を作り、ポーランドは商船や輸送艦を受け持つ体制であった。そのため、造船業に重点を置いた工業生産をしていた。その象徴がグダニスク造船所であり、ワレサはそこの電気工であった。
しかし、その重点生産が上手くいかない。社会主義的生産でいつも出てくるノルマを割り振るのだが、結局、ノルマは達成できない。その原因は労働量投下の問題ではなく、大本は停電と鋼材不足による。労働者は手空きを強制される。
また、労働効率を上げる工夫にも欠ける。ケレン工か塗装工なのだが、防塵マスクがない。ワレサは防塵マスクを支給されていない労働者を責任者のところに連れて行くが、マネージャークラスは(官製の)労働組合に掛け合えというだけ。
そこで、マネージャーは何をやっていたのだろうか。もちろん、映画であって無能なポーランド社会主義生産体制を強調しているのだろうけど。一番貧しい労働者を買収して「ノルマ未達は自分たち労働者の責任だから、自分たちの給与を下げよう」と提案させる程度なのか。
結局、戦時下の日本のアレな徴用工場と同じではないのかね。戦時下日本では、工場は利潤や原材料割当も確保されたので、経営者は何もしなくなった。社会主義ポーランドの工業生産も、エリート工場であるグダニスク造船所でもそうだったということなのか。
もちろん、マトモなマネージャーもいたと思うよ。戦時日本でも、現有の工場設備を最大限に回転させようとした経営者や軍監督官がいた。戦後の日本生産性本部はそういった連中が作ったものだし、戦後の科学的経営の萌芽でもあった。同じように、ポーランドにもいたはずだろう。
戦時日本の工場でも、マトモなマネージャーは生産性を維持するために、なんでも工夫をした。映画で言えば防塵マスクの類がそれでコネや賄賂を使っても手に入れたし、鋼材品切や停電があっても手空にならないように工夫をした。食糧が問題なら闇で直接購入もした。
しかし、映画で出てくるグダニスク造船所のマネージャーは何もしていない。もちろん、現実には優先割当そのほかを要求したのだろうが、おそらくそのあたりで終わりだろう。映画の中でおそらく事実である部分、労組の大会で無様な小細工を弄して失敗したり、不穏の空気を予察できず、突然のストに狼狽えたりするようでは駄目ではないのか。
※ アンジェイ・ワイダ『ワレサ 連帯の男』(アルバトロス・フィルム,2013)
※※ ポーランド労働者党独裁体制でも、政治犯罪でも逮捕から48時間しか拘束できず釈放する。このあたり、中世の司法制度運用をしている日本よりも自由を大事にする国じゃないのかね。
§ オレ、酒飲まないから、路上飲酒検問もイイねと思った。飲酒運転の検問じゃなくて、歩行者への飲酒そのものの検問ね。それを理由に付き合い酒を断れるからねえ。
§§ 映画が始まる前に、配給そのほかの会社のロゴCGが10以上でる。数えると面白いと思うよ。
ここだけの話だが、ネタバレするとワレサと連帯がポーランド労働者党独裁体制に勝つ中身になっている。それはさておき、それよりもワイダが描く社会主義ポーランドの工場経営のアレ加減にマネージャーは何をやっているのだろうと思ったよ。
コメコン体制下でポーランドは造船を受け持っていた。ソ連は軍艦を作り、ポーランドは商船や輸送艦を受け持つ体制であった。そのため、造船業に重点を置いた工業生産をしていた。その象徴がグダニスク造船所であり、ワレサはそこの電気工であった。
しかし、その重点生産が上手くいかない。社会主義的生産でいつも出てくるノルマを割り振るのだが、結局、ノルマは達成できない。その原因は労働量投下の問題ではなく、大本は停電と鋼材不足による。労働者は手空きを強制される。
また、労働効率を上げる工夫にも欠ける。ケレン工か塗装工なのだが、防塵マスクがない。ワレサは防塵マスクを支給されていない労働者を責任者のところに連れて行くが、マネージャークラスは(官製の)労働組合に掛け合えというだけ。
そこで、マネージャーは何をやっていたのだろうか。もちろん、映画であって無能なポーランド社会主義生産体制を強調しているのだろうけど。一番貧しい労働者を買収して「ノルマ未達は自分たち労働者の責任だから、自分たちの給与を下げよう」と提案させる程度なのか。
結局、戦時下の日本のアレな徴用工場と同じではないのかね。戦時下日本では、工場は利潤や原材料割当も確保されたので、経営者は何もしなくなった。社会主義ポーランドの工業生産も、エリート工場であるグダニスク造船所でもそうだったということなのか。
もちろん、マトモなマネージャーもいたと思うよ。戦時日本でも、現有の工場設備を最大限に回転させようとした経営者や軍監督官がいた。戦後の日本生産性本部はそういった連中が作ったものだし、戦後の科学的経営の萌芽でもあった。同じように、ポーランドにもいたはずだろう。
戦時日本の工場でも、マトモなマネージャーは生産性を維持するために、なんでも工夫をした。映画で言えば防塵マスクの類がそれでコネや賄賂を使っても手に入れたし、鋼材品切や停電があっても手空にならないように工夫をした。食糧が問題なら闇で直接購入もした。
しかし、映画で出てくるグダニスク造船所のマネージャーは何もしていない。もちろん、現実には優先割当そのほかを要求したのだろうが、おそらくそのあたりで終わりだろう。映画の中でおそらく事実である部分、労組の大会で無様な小細工を弄して失敗したり、不穏の空気を予察できず、突然のストに狼狽えたりするようでは駄目ではないのか。
※ アンジェイ・ワイダ『ワレサ 連帯の男』(アルバトロス・フィルム,2013)
※※ ポーランド労働者党独裁体制でも、政治犯罪でも逮捕から48時間しか拘束できず釈放する。このあたり、中世の司法制度運用をしている日本よりも自由を大事にする国じゃないのかね。
§ オレ、酒飲まないから、路上飲酒検問もイイねと思った。飲酒運転の検問じゃなくて、歩行者への飲酒そのものの検問ね。それを理由に付き合い酒を断れるからねえ。
§§ 映画が始まる前に、配給そのほかの会社のロゴCGが10以上でる。数えると面白いと思うよ。
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Comment
No title
18:58
大島
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編集
軍板のスレで指摘されていた。
結局、日本経済が以前の水準を取り戻し再び成長を始めるのは1956年「もはや戦後ではない」宣言の頃っていう。
まあ「統制経済」の実態なんて、極東でも中欧でもろくなもんじゃないね。
87:イナゾウ脱走兵 ◆FU/OcfTlfM [] 2009/05/11(月) 00:53:17 ID:PV6YPf2n (3/5)
>>77 >>この第73回帝国議会で一番の肝となるのは、やはり『国家総動員法』の
>>成立とその過程でしょう――。
やはり佐藤云々よりも、肝となるのは『国家総動員法』の成立自体でありまして、
民間ではあらゆる業種に「事業組合」が網羅されることになります。具体的には
企業の借り入れ、増資、配当にまで制限を受けるようになり、当然のことながら
「事業組合長」は官僚の天下りです。
これにより膨大なペーパーワークが発生することとなり、銀行貸出しについても
大蔵省の許認可が要るという「非現実的」な内容でしたが、さすがに実行不可能で、
規制は緩められました。しかし各企業への金融は大きく抑制される結果となります。
もちろん、これでは「新規の設備投資」は困難になりまして、生産力の拡大について
各企業は既存の設備をフル稼働させることで対応しますが、これでは「先が無い」のは
目に見えていますw。結局、企業間競争も阻害されまして、新しい技術や新製品の開発に
対するモチベーションは急速に失われていきます――。
88:イナゾウ脱走兵 ◆FU/OcfTlfM [] 2009/05/11(月) 01:10:22 ID:PV6YPf2n (4/5)
これが日本経済の停滞を招きまして、後から振り返れば『総力戦体制』どころの
話ではなくなる訳です。なぜこのような『自爆テロ』のような事を目指したかと
いえば、当時の「自由主義経済」の行き詰まりと、ソ連の「5ヵ年計画」による
経済発展に目が眩んだためです。カンジもこれに傾倒していましたが……。
まあ結論から言えば、日本が生んだのは単なる『官僚天国』であり、ソ連のように
独裁者のスターリンが成果如何によって『粛正を言い渡す』のを嬉々として待って
いる環境とは根本的に違う訳です。話が飛ぶのでこの辺にしますが、「戦前日本の
統制経済が、統制でも何でも無かった」と気付くのは戦後のことになります――w。
00:12
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Re: タイトルなし
00:35
文谷数重
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> 灰とダイヤモンドの監督、まだ生きてらしたんですね。
資本主義
01:34
ひのまるせんす
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商人が企業のマネージャーをやるのと、役人や軍人がマネージャーやるのでは全然違いますね。(^ω^)